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UPDATE|2022/08/10

芸人になるため東大法学部へ、大島育宙「就職は得策じゃない、芸人という“ハブ”があれば何でもできる」

XXCLUB 大島育宙  撮影/松山勇樹



──その話を昨年7月に『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で若林さんが話されたんですよね。

大島 以前、若林さんとクイズ番組で共演させていただいた時にすごく冷たくて(笑)、「あれ?若林さん的に黒歴史ってことなのかな?」と思っていたんですけど、数年経って、XXCLUBが『オールナイトニッポン0』を担当した時に触れていただきました。若林さんは僕のことを話すタイミングを見計らってくれていたみたいで、「よきところで言おうと思っていたから、今日がいい日だなって」と話してくださったんです。

──その頃からプロの芸人になる意識が芽生えてきたんですか?

大島 大学時代、知り合いの就職活動のエントリーシートの添削や代筆をやっていたんですけど、みんな頭がいいはずなのに支離滅裂な文章が送られてきて。新卒の一括採用のシステムがあまりにキツいから、みんな自分を見失っていくんだなあ、と。恐怖でした。そもそも学校に行ったり部活に参加することも苦手で精神的にすごく苦しかったので、みんなと一斉に何かをするのは自分なら尚更無理だと思いました。就職することは得策じゃない、自由に生きつつ安定した生活を送れる表現者のほうが精神的なリスクが低いと思って、タイタンに入ったんです。

──なぜタイタンを選んだのですか。

大島 学生お笑いの大会に出たとき、吉本興業からは「入学金なしでNSCに入れます」と言ってもらえたり、あと2つくらいの有名事務所からは「仮所属できます」という話があって。タイタンのマネージャーからも名刺をもらったのでネタ見せにいったんですけど、僕らはオーディション枠なので、今後のタイタンに還元する可能性が著しく低いのに、交通費とお弁当が出たんです。

また、他の事務所のネタ見せは、まだ出番のない若手が裏方も兼ねていることが普通で。彼らはスタッフのプロになるつもりはないので仕方ないですがやる気がなくミスも多い。本人たちも精神的に苦痛を感じている。だけどタイタンは裏方のスタッフもプロの方たちが入っていたので、合理的だなと。しかも、日本エレキテル連合さんやウエストランドさんといった先輩が声をかけてくれて一緒に弁当を食べるという、他の事務所では考えられない空間が発生して。僕から相方に「タイタンに入れるまで他の事務所のネタ見せはいかなくていいんじゃないか」と話しました。相方は「弁当が食えるからそれでいいと思う」って(笑)。

(中編へ続く)

【中編はこちら】東大芸人・大島育宙が絶対M-1に出ない理由「ネタ至上主義と仕事の本質はつながらない」 

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