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UPDATE|2022/08/10

芸人になるため東大法学部へ、大島育宙「就職は得策じゃない、芸人という“ハブ”があれば何でもできる」

XXCLUB 大島育宙  撮影/松山勇樹



──芸人になろうと思った経緯は?

大島 ちょうど同じ頃、品川(ヒロシ)さんが映画を撮って、麒麟の田村(裕)さんが出版した本が大ヒットして、さらに『アメト──ク!』(テレビ朝日系)でガンダム芸人や家電芸人が盛り上がっていました。自分は映画も本もお笑いも好きで、そのすべてに関わりたいと思っていたんですけど、ネタ以外でやりたいことをやっている芸人を見て「芸人」というハブがあれば、お笑いと別のことをやっても許されるかもしれないと思い始めました。

──芸人になりたい場合、現在だとNSCをはじめとした養成所に入ることが一般的だと思いますが、大島さんは「東京大学」を武器にすることを選びます。

大島 高校の頃、親に黙ってお笑いライブを観に行っていました。渋谷のシアターDという劇場で見た上々軍団さんがとにかく面白くて劇場が壊れるくらいウケていたんですけど、「売れてないこと」を自虐ネタにしていて。「(こんなに面白いのに)これで売れないなら、僕が芸人になるなんて無理じゃないか」とショックを受けて。別の武器がないと仕事にならないと思って、東大の法学部を目指すことにしました。高学歴芸人は、京都大学出身のロザンの宇治原(史規)さんがいらしたけど、東大芸人はまだ飽和していないだろうと。

その時点では「自分が将来ずっとお笑いが好きなのか」という自信がなくて、東大受験はその恐怖心からの保険という側面もありました。作家になるにしても映画に関わるにしても、いまの日本社会で東大に入って損をすることはないと思ったので。基本、いつも恐怖心から物事を選択していますね。

──無事東大生になり、お笑いサークル・早稲田大学お笑い工房LUDOに入りますが、まわりのメンバーも高学歴なわけですよね。

大島 学歴をネタにしても予定調和程度にしかウケなくて、むしろ東大と関係ないことをやっているほうが褒められました。

──オードリー若林(正恭)さんの家庭教師をしていたのはその頃ですか?

大島 そうですね。若林さんが疑問に思っていることを聞いて、僕が「こういう歴史を勉強したらわかりやすくなるかもしれません」と日本史や世界史の教科書の範囲を指定させて頂く。若林さんが次の機会までに勉強してきて「なんとなくわかったけど、現代の我々の感覚とは隔たりがあるじゃない」と疑問を投げてくるので、僕は知識を総動員して「僕はこう思うんですけど、ここまで話すとテレビ的にマズくて……」などと延々とラリーしていました。若林さんが抱いていた疑問を縁取ると言うか、教科書を使いながらその背景を肉付けする作業を手伝わせて頂いていた感じです。


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