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UPDATE|2022/05/04

在日クルド人少女を熱演・嵐莉菜、マルチルーツの私が「絶対にこの役をやりたかった理由」

嵐莉菜 撮影/山田健史


──サーリャの家族は、違う方が演じる可能性もあったんですよね?

嵐 もちろんそうです。お父さん役が決まる前も、他に2人くらい候補の方がいて一緒に演技をしたりもしました。妹役も弟役も別の方もいたので、最初は本当の家族で演じることになるなんて信じられなかったです。先ほど「エンドロールを見て気付いた」と言ってくれたように、それを知らないで見て、エンドロールで気付いて「もう一回見たい」と思ってもらえたらいいなとも思います。だから家族で出演していることは、隠してはいないのですが、あまり広く公表してもいないんです。

──なるほど...。この話は掲載しても大丈夫なんでしょうか?

嵐 気付いてくれた方には話しているので、それは大丈夫です!

──この作品への思いは先ほど語ってもらいましたが、映画初挑戦ということそのものについてはいかがですか?

嵐 主演という大きな役割でしたし、周りには演技の大先輩もいたので、私が足を引っ張ってしまうんじゃないか、迷惑をかけてしまうんじゃないかとすごく思っていました。けど撮影前のワークショップの時からスタッフの方や共演の奥平大兼さんが本当に優しく接してくださって、わからないことも聞くことができたので、その後は自分のできることをちゃんとやって、精一杯全部出し切ろうという前向きな気持ちになることができました。

──本作品で共演された俳優の奥平大兼さんとは、撮影前に行われたというワークショップなどで、どんな話をされていたんですか?

嵐 奥平さんは年齢がひとつ上なのですが、趣味が合ったこともあって仲良くなれました。撮影中、私が業界用語を全然知らなかったので「次何するの?」とか、スタッフの方に聞きにくいようなことを教わったりしていました。撮影前に「落ち着きたい時にはどうやって心を整えているの?」と聞いたら「耳をふさいで目をつぶって無になる」と教えてくれたので、実践したりもしていました。映画の現場の基礎を色々と奥平さんが教えてくれましたね。私が緊張していると、話し相手になってくれたりして、それで私も緊張がやわらいで、本当に頼れるお兄ちゃんのような存在でとても感謝しています。

──実は先日、奥平さんにもお話を伺ったのですが「サーリャにはつらいシーンが多いけど、(奥平演じる)聡太といる時のサーリャは楽しい時間を過ごしていたから、撮影以外でも嵐さんと一緒にいるときはできるだけ楽しく過ごすことを心掛けていた」とおっしゃっていました。

嵐 そうだったんですね!サーリャにとっては聡太が居場所にもなっていたので、一緒にいる時は幸せそうな顔をしているんです。ワークショップの時には川和田監督がみんなでお花見をする機会を作ってくれて、仲を深めたんですよね。仲良くさせていただいたことがサーリャの演技にも反映できたのかなと思います。

──ワークショップでは他にどんなことをしたんですか?

嵐 私は実際にクルド人の家族にお会いして話を聞いたり、ご飯をいただいたりしました。楽器を弾いてもらったりもして、クルドの文化などを知ることができましたね。(後編へ続く)

【後編はこちら】5カ国にルーツ『ViVi』モデル嵐莉菜「日本生まれで日本育ち、でも自分は日本人と言っていいのかな」
AUTHOR

山田 健史


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