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UPDATE|2022/04/05

唯一無二の番組制作術・『ゴッドタン』佐久間宣行が語る“データじゃない視聴率”

佐久間宣行 撮影/武田敏将



──現在、Netflix で配信されている『トークサバイバー』も前例のない番組だと思います。

佐久間 やったことがないからドキドキでした(笑)。「誰がNetflixでバラエティ番組を観るんだよ」と思っていた人もいたはず。

──ドラマパートはNetflixの作法に則った「次の回を観たくなってしまう」仕掛けが施されています。

佐久間 そこは設計の段階で死ぬほど考えました。脱落のシステムだけでは弱いし、ギスギスしてしまう。そこで、芸人同士で助け合うことがベースになっているけど、脱落する時はドラマで強制的に落ちることで、「芸人は悪くない」という見せ方にしたんです。それと、Netflix的な高級感はドラマパートで担保して、お笑いパートはシンプルなトークに徹しようと考えました。お笑いパートにお金をかけるとテンポが悪くなってしまいますから。「やっちゃいけないこと」を排除した結果、あの形になったんです。

──『トークサバイバー』の元ネタは『キングちゃん』(テレビ東京)の「ドラマチックハートブレイク王」ですよね。

佐久間 「ドラマチックハートブレイク王」には脱落システムがないので、『トークサバイバー』は「ドラマチックハートブレイク王」のエッセンスを取り入れた新しいコンテンツだと思ってます。もちろんテレビ東京には仁義を通しました。シーズン3で終わってしまいましたが、「『キングちゃん』はレギュラー放送したほうがいい」と局に提案し続けていたんです。あの番組はお笑いの運動会みたいなもので、いくつも新しい競技を考えてきました。「ドラマチックハートブレイク王」以外にもサブスクで活用できる企画が5つも6つもあるんです。

──『トークサバイバー』がヒットしたのは佐久間さんのブランド力も大きいと思います。著書『ずるい仕事術』でもブランド力について書かれています。

佐久間 社内に向けて意識的にブランドを作るようにしていたけど、”外”に向けてブランドを作ることは考えてなかったです。社内の場合、自分に向いてない仕事が回ってこないようにブランドを作る必要があって。組織で働いてる人は経験があると思うんですけど、いとも簡単に配置転換されてしまうんですよ。そうならないために「これをやらせたら会社に利益をもたらす男」で、「他のジャンルにいったら何の役にも立たない面倒くさい男」だと思わせなきゃいけなかった。

できるだけ人材交換の場に提供される人間にならないように意識して行動していたんです。”外”に名前を知ってもらえたのはSNSのおかげ。「この番組を作ったのは佐久間なんだ」と後から知った人が多いと思うんです。子供向け番組の『ピラメキーノ』(テレビ東京)がその代表じゃないかな。(後編につづく)

【後編はこちら】サラリーマン歴22年・『ゴッドタン』佐久間宣行が語る仕事術「嫌な人に頭を下げる必要はない」

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