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UPDATE|2022/04/08

女優・杉本有美、グラビア引退中の5年「アルバイトにも挑戦して仕事への向きあい方も変わった」

杉本有美 撮影/山田健史



──冒頭に「この5年で色々あった」とおっしゃいましたが、その期間で杉本さんはどう変化していきましたか?

杉本 「舞台をやりたい」という思いがありましたが、やっぱりなかなか難しくて、グラビアを辞めてから1年半くらいはフリーの期間があったんです。そこで、私は小さい頃から芸能界のお仕事をしていてアルバイトの経験も無かったので「やっぱり社会勉強しないとな」と思って、アルバイトをしてみたりもしました。

──どんなアルバイトを?

杉本 鉄板焼屋さんの仕込みのアルバイトです。「自分が芸能を離れたときに何が残るんだろう」と思ったんですよね。何も勝負できるものがないことに、ちょっと恐怖を感じたんです。それで、料理が好きではあったのと、接客はたぶん得意じゃないだろうなと思ったので、仕込みとか掃除とか、裏方をやっていました。私が切ったレモンをお客さんが口にするんですが、そのレモンの切り方とかも、負けず嫌いということもあってこだわってやっていましたね。

──お客さんも、杉本さんが切ったレモンとは思わないでしょうね。ではそのアルバイトが、社会経験として学びになったんですね。

杉本 勉強になりました。お金を稼ぐ大変さももちろんそうなんですが、仕事を覚えなきゃいけないこともそうだし、仕事を教えることもすごく難しかったです。どうやったら伝わるんだろう、とか。それまではあまり考えたことがなかったんですよね。

──後輩の指導まで行っていたんですね。

杉本 そうです。30代になって、芸能の仕事で“姉さん”と呼ばれることも増えてきたので、後輩にアドバイスをする時とかには、アルバイトの経験が生きているかなとも思います。それから、やっぱり芸能の仕事が良いなと沸々と溜まって「このまま埋もれたくないな」とすごく思ったんです。それで、悩んだんですが小劇場で舞台をやることにしました。

──小劇場で、というのはどうしてでしょう?

杉本 それまでの舞台は大きい会場ばかりだったので、小さい会場でやることになったときに「どう見られるんだろう」という葛藤があったんです。でも親友に相談したら「今まで有美の舞台観てきたけど、小劇場だと更に有美の良さが伝わるんじゃない? そんな怖がらず一回やってみぃ。」って言ってくれて。それで確かに、と思ったんです。たぶん、周りの声とかネットに書かれていることを気にし過ぎていたんですね。それを1回取っ払って挑戦したのがきっかけで、現在のお仕事にだんだんと繋がっていったという感じです。一度プライドを捨てて踏み出してみたら、小劇場にも良さがありますし、そこで求められたことに挑戦できるのが、今は楽しいです。

──周りの声はやはり気になりますか。

杉本 昔はSNSがなかったので周囲の声はあまり気にしていなかったんですが、ここ最近はTwitterとかで直接的に見えるようになってしまった、ということもあります。自分が弱っているときに見てしまうと、やっぱり気になってしまいます。今回の写真集のレビューも全部見ています(笑)。でも今は、割と好きなことをやらせてもらっているという意識があるので、以前よりは大丈夫ですね。SNSは見ない、という人もいますけど、私は矛盾しているようですが、見たい気持ちもあるんです。そういう意見で自分を奮い立たせるというか。

──負けず嫌い、ということでしょうか。

杉本 そういう思いもありますね。小さい頃に雑誌の読者モデルで芸能界に入ったんですが、グランプリが獲れなくて、準グランプリだったんです。「1位」という目指す先があったので、そういう経験もあって負けず嫌いになったのかもしれません。

>>後編はこちら

(取材・文/山田健史)

▽杉本有美(すぎもと・ゆみ)
1989年4月1日生まれ、大阪府出身。ファッション誌『ピチレモン』や『JJ』のモデルとして活躍したほか、女優として『炎神戦隊ゴーオンジャー』『江〜姫たちの戦国〜』など数々の作品に出演。現在は舞台を中心に活動している。
4月20日 (水) ~4月24日 (日)に10・Quatre本公演vol.14「Ondulation ~オンデュラシオン~」(テアトルBONBON)に出演する。詳細はこちら(https://10quatre.com/tate/next-play/)
Twitter:@Sgmt_Yumi
Instagram:sugimotoyumi_official
CREDIT

取材・文・撮影/山田健史


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