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UPDATE|2022/03/25

小室哲哉と牧野アンナとSKE48…11年ぶりの新公演で起こす、厳しくも優しい化学反応

「新オリジナル公演情報解禁SP生配信」を行ったSKE48チームS (C)2022 Zest, Inc.


 アイドルになったばかり、よちよち歩きのメンバーは、先生の指導を言われるままに吸収した。映像にも残っているが、指導は厳しかった。メンバーは食らいついた。その結果、AKB48とは違うステージを作り上げ、それがSKE48の個性となっていった。

 2009年、チームSは2つのオリジナル公演を上演しているが、ともにアンナ先生の手による振り付けである。その曲たちはいまだに色あせておらず、特に『恋を語る詩人になれなくて』のインパクトは絶大だ。その振り付けは運動量が多く、明るく、ユニークだった。

 公演曲以外にも、SKE48では『青空片想い』『ごめんね、SUMMER』『パレオはエメラルド』といったシングル曲もアンナ先生が手掛けている。『パレオ~』はSKE48が『NHK紅白歌合戦』に初出場した2012年にも歌われており、自身が考案した振り付けをアレンジし、バレエ経験豊富な須田亜香里をフックアップしたり、器械体操経験のある研究生のバック宙を取り入れたりして、紅白仕様に再構築。今でもファンの語り草になっている。

 ところが、2015年を最後にアンナ先生はSKE48の楽曲を担当することはなくなった。他の先生が考案した振り付けをメンバーは踊るようになっていった。

 この頃、すでに国内にはアイドルグループが星の数ほど誕生していた。48グループだけではない。乃木坂46も結成されていたし、それ以外の事務所もアイドルビジネスに参入していた。曲の数だけ振り付けが存在するが、2010年代半ばにもなると、どのグループのどの振り付けも、さほど差がなくなっていた。SKE48の振り付けも個性という点において、他のグループと比較すると、特に目立つものではなくなっていった。その状況は何年も続くことになる。私はSKE48にはアンナ先生が必要だと考えていた。
AUTHOR

犬飼 華


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