──それで実際に番組に出たのは33歳ということは、“空白の5年間”があったということですよね。何をやっていたんですか?アンジェラ その前からずっと住み込みのフリーターを転々としていたんです。具体的にはホテルが多かった。やっぱり北海道ってごはんがめちゃくちゃ美味しいじゃないですか。朝食バイキングの残りを従業員そのまま食べたり、超美味しい郷土料理のまかないを食べたり、食事面での待遇がマジ最高で! もう本当に天職だと思いましたね。で、33歳のときに番組に出るんですけど、これには少しほろ苦いが事情がありまして……。当時、つき合っていた彼氏と別れてしまったんです。
──すいません、失恋と大食いという要素が結びつかないのですが……。アンジェラ その元カレっていうのが、「たくさん食べすぎる女は恥ずかしい」という考えの持ち主だったんです。デートに行っても、私たち大食いの人たちは「外食=食べ放題」というのが半ば常識化しているわけですよ。だけど、その元カレはバイキングなのに「おかわりは2回までね」とか言ってきて。
──それはアンジェラさんの身体を気遣って?アンジェラ いや、単にええ格好しいだったんだと思う。とにかく私の胃袋を普通の人と同じにしたいということで、苦肉の策として鼻の下にメンソレータムを塗られたこともあります。そういうダイエット法があって、ミントの匂いで食欲が減ると言われているらしいんですけどね。もう食事に対する考えというか大食い観が、根本から合わなかった! だから腹いせみたいな感じで、「だったら大食いする姿を全国にアピールしてやる!」と出場を決意したんです。
──実際に出演してみて驚いたことはありますか?アンジェラ 素朴な感想として「あぁ、本当にみんな食べるんだなぁ」と。テレビだと編集でそれっぽく見せているんじゃないかと疑っていたんですけど、みんなガチだから迫力に圧倒されました。番組MCのお笑い芸人さんやタレントさんなどに会い「うわっ、テレビの人が目の前にいる!」と感動しましたし。でも何より驚いたのは、出場者の大食いレベルがとてつもなく高かったこと!
たしか1回戦が豆腐だったと思うんですけど、6kg食べたのに脱落した子がいたから「とんでもない現場だな」と……。今まで周りの友達から「よく食べるね~」とか騒がれていたのは、しょせんままごとレベルだったと思い知りました。(中編へつづく)
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