──子どもなので、駄菓子屋で万引きみたいな。
川北 USBメモリを使って企業のデータを盗んでました。大人が喜んでくれたので。
──笑顔が見たかったんですね。小学校に入ると同級生と遊ぶようになったんじゃないですか?
川北 そうですね。でも、卒業した時にクラスメイトをよく見たら人形だったんです。あぁ、僕は人形としゃべっていたんだと。
──卒業した時に目が覚めたんでしょうか。
川北 かなり精巧にできていたので、僕がおかれた環境がおかしかったというより、人形を褒めてほしいですね。
──ポジティブな捉え方。
川北 人形のほうがビックリしていたと思うんですよ。僕のことも人形だと思っていたのに、本当は人間だったんだって。むしろ僕のほうがおかしかったのかもしれない。
──中学生の時、部活には入ってましたか?
川北 避難訓練部といって、いかに早く避難することができるか競う部活に入ってました。校内に「壁抜け」ができる場所があって、ポリゴンの隙間を探すように、校舎の壁にみんなで体当たりしていたんです。
──成功率は?
川北 かなり低かったですよ。3年生になるといいところまでいって、先輩の中には体が半分壁に埋まったまま卒業を迎えた方もいました。卒業したくない気持ちがそうさせたのかもしれません。
──高校も避難訓練部でしたか?
川北 避難訓練部がなかったので、学校に行かなくなったんです。そうなると不思議なもので、高校のほうから来るようになるんですよ。