——刺さる言葉を皆さんが持っていて、それを徳井さんが文章で伝えてくれた。加藤浩次さんの言葉も刺さりました。
徳井 加藤さんは凄かったですね。加藤さんほどぶっとい人間はなかなかいないですから。小籔(千豊)さんも加藤さんの番組に出たときに、「加藤さん凄いな、MCとしてぶっといなぁ」って。ナインティナインという人の横で、20年間劣等感の元にやってきたというのは伊達じゃないですよね。
——加藤さんの言葉で、「比較論では人は幸せになれない」とあったのが印象的で。
徳井 気付いたんじゃないですか、道中で。実は比較論のくだりは加藤さんが吉村に言った言葉なんです。でも、吉村が人と比較したからこそ、今の吉村がいるとも思うんです。背伸びし続けて本当に身長が大きくなったというね。
——吉村さんへの感謝も本に書かれていますね。
徳井 年取ってからですよね。若いときはお互い殺意しか覚えてなかったですから(笑)。まぁ、親の葬式で久々に会った兄弟が意外と仲良くなっていた感じで十分かなと思っているので。
——確かに、コンビを「兄弟」に例えられていて。
徳井 姉妹は仲がいいところが多いんでしょうけども、兄弟って微妙な関係も多いですよね。喋らない姉妹ってあまり聞かないじゃないですか (笑) ?
——ちなみに今、勢いがあると思う若手芸人を挙げるなら?
徳井 圧倒的に真空ジェシカじゃないですか? あとはどこまであいつらがテレビにアジャストしてくるかだけだと思います。もう、お笑い能力はたぶん若手では群を抜いている。自分らの尖りを世間に合わせてどれだけマイルドにしてくるかだと思うんですけど、本気でいけば近いうちに『M-1』も優勝するんじゃないですかね。
——『ゴッドタン』の「腐り芸人セラピー」然り、熱い言葉と的確な考察で、芸人に美味しいコーヒーを淹れ続け、今後のコラムも期待しています。
徳井 ありがとうございます、観続けないとね。
取材・文/富田陽美
▽徳井健太
1980年、北海道出身。NSC東京校5期出身の同期であった吉村崇と2000年、お笑いコンビ『コブシトザンギ』を結成、その後コンビ名を『平成ノブシコブシ』とする。2005年には、ピース、ハイキングウォーキングら若手ユニット「ラ・ゴリスターズ」で当時は男前コンビとしても活躍。『ピカルの定理』(フジテレビ系)などのコント番組、数々のバラエティ番組に出演。芸人愛には定評があり、近年では、『ゴッドタン』(テレビ東京)の「腐り芸人セラピー」で、心に闇を抱え孤独の中で腐ってしまった芸人たちに的確な考察と熱いメッセージで視聴者から大好評を博している。