——人となりが乗っかるということでしょうか?
徳井 それしかないでしょうね。先輩やスタッフさんは人間性じゃないと笑わないですから。俺らは面白いんだというプライドだけ背負っているのが一番ヤバい。それだったら俺はスベったほうがいいと思う、売れたいならね。余計なおせっかいですけど(笑)。
——本を上梓するにあたり、オズワルドさんを書き下ろしていますが、彼らを選んで書いた理由は?
徳井 オズワルドは初めて漫才を観たときから独特で面白かったのに、「全然仕事がこない」と言っていたので、あんなに面白いオズワルドが売れないのかと思っていたら、2、3年たった今こうやってスターになっていて、自分の見る目があるよねと(笑)。あとは、ちょっとうちらのコンビと似ているような気がしたんです。
——と、いいますと。
徳井 オズワルドはもっと売れて行くコンビで伊藤(俊介)は即戦力だからMCもやっていくと思うけど、畠中(悠)が自分を出し切れないまま、いわゆる「芸能界一周旅行」が終わるかもしれない。畠中がどうしたらいいか分からなくなっていくときに、畠中が褒められた経験とかを書いておきたかった、それが大きかったかな。(オードリーの)春日(俊彰)も同じタイプだと思いますが、できすぎる人間の横にいると対比するように奇人になるしかないんでね。でも、沈んでからが勝負だと思います、オズワルドも。
ここから4、5年経って雲行きが怪しくなってきたときからのひと踏ん張りを、「あのとき、徳井さんも言っていたもんな」と思ってくれたら嬉しいですね。
——書かれた芸人さんから感想は届いていますか?
徳井 (相方の)吉村(崇)とはなかなか会わないからなー(笑)、でも連載時に原稿は読んだみたいで、恥ずかしそうにしていました。濱家(隆一)は、「涙が出そうになる、嬉しい」って言ってくれました。かまいたちが一番書きづらかったかもしれないですね。濱家も山内(健司)も若手時代は相当尖っていたんですが、その尖りをかなりマイルドにして東京に来たと思うんです。でもそんな裏話を書いちゃうと、彼らの邪魔になるとも思ったんですけど、かまいたちの凄いところはそこだと僕は思ったので、なんとかうまく書いたつもり。
ネタが面白くてセンス抜群のふたりが東京に乗り込んできたと思われがちですもんね。でも、フジテレビのコント番組で一回コケているからこそ、今の二人がいると思っているんですよ。