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UPDATE|2022/02/18

レジェンドが語るコスプレ文化の30年「当時はほぼすっぴん。自宅の住所を教えるのも普通でした」

『FateGrand Order』宮本武蔵。武器は自作(2021年スタジオにて撮影)


現在では、コスプレするのを目的にイベントに参加する人も多いが、当時は同人即売会に参加するついでにコスプレをするのが一般的。

「福岡ではコスプレオンリーのイベントなんて昔はほとんど無かったし、都心部で開催されていたコミケは遠い存在でしたね。今みたいにコミケの様子がネットで見られる時代ではなかったですし」

たった1日のイベントの為だけに、スプレーで地毛を染める人もいたのだそう。

「『THE KING OF FIGHTERS』とか『ヴァンパイア』とか『サムライスピリッツ』とか、格闘ゲーム全盛の時代が来たんですけど、それでまた髪色を変えるコスプレイヤーさんが増えたこともありました」

昔と今でイベントの違いを伺ってみると、はるさんは「同人誌即売会自体はそこまで変わってはいない気がします」と教えてくれた。一方で、頒布する同人グッズやその作り方は今とは大きく違うのだとか。今だとオフセット(※印刷会社に発注した本)で1000円、2000円するのが当たり前。しかし当時は、100円や200円で買える自作のコピー本(※印刷所に発注せず、コンビニのコピー機などでコピーした本)がブースに並んでいたという。

「コピー本はいいぞー! というのが普通でした(笑)。他にもメールなんて無かったのでお手紙交換の為に便箋を作ったり、販売用の封筒も自分でプリントゴッコで作っていましたね」

今よりもアナログな作業が多い分、大変だったんじゃないかと質問してみると、意外な答えが返ってきた。

「でも楽しかった! それに今の方が市場が大きいから大変な気がします。当時はとても参入しやすかったんですよ。コピー本も多かったし、中学生でも気軽に買える100円の本もたくさんあったし、誰でも出展側になれたと思うんです。今は絵が上手い方とか、クオリティの高いコスプレをする方が目に入ってきてしまうので、敷居がめちゃくちゃ上がっているように思います」

「それに、嫌な言葉も入ってきやすいと思うんですよね。前はよっぽど好きな方が手紙をくださるくらいで、嫌なことをわざわざ手紙で送ってくるような方はあまりいなかったと思うので。もう私は大人だし、いろんな経験をしてきているので耐えられますけど。これが10代の頃だったら辛かっただろうと思います。少し間違えると炎上する可能性もありますし」
AUTHOR

鳥羽 竜世


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