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UPDATE|2021/12/29

元家庭科教師 レディ・Cのデビュー秘話「プロレスをやらせてください!」父に号泣土下座した夜

撮影/松山勇樹


──どう切り出したんですか?

レディ・C 「申し訳ありませんが、どうしても教員採用試験を受けたくありません。ここで受けてしまったら、おそらく教員を続けることになる。教員は免許があればいつでもできるでしょう。でも、私には今しかできないことがある。プロレスをやらせてください!」って。

──お父さんも度肝を抜かれたでしょうね。

レディ・C 父親はテレビで全盛期のプロレスを見ていた世代なので、「あんな危険なことがお前にできるわけないじゃないか。なんで教員を辞めてまで、そんなことをする必要があるんだ」と取り付く島もない感じでした。まあ意見としては、ごもっともなんですけど(笑)。「何がお前をそこまで駆り立てるんだ?」とも訊かれましたね。そこで私は「3年間、時間をください! そこで芽が出なかったら教員に戻ります! 一生のお願いですから、プロレスをやらせてください!」って大号泣しながら土下座。途中からは父親も号泣していましたね。「なんで自分の娘がプロレスなんかに……」って。こうやって話しているだけでも、当時の記憶が蘇って泣けてきますね。

──その号泣土下座によって父も認めてくれた?

レディ・C まあ渋々ですけど。「応援はできないけど、3年間だけは許す」と言われました。それですぐさまその場で関係者に「教員採用試験の件ですが、やはり辞退させていただきます」と電話で伝え、校長先生のところにも謝りに行きました。「君はいい先生になれると思ったんだけどね。非常に残念だよ。でも、やるからには頑張ってほしい」と落ち込んだ調子で励まされましたね。

──生徒からは祝福された?

レディ・C いや、実は生徒にはきちんと伝えていなかったんですよ。特に最初の2年間教えていた高校の生徒はまったく知らないはずで、SNSのDMで「ひょっとして先生ですか? 私、●●高校でお世話になった■■です」みたいな戸惑いのメッセージを何件かもらいました。プロレスラーになったことは仲のいい友達にも伝えていなかったから、「は? 教員はどうしたの? なんで辞めちゃったの?」と驚かれることが多いです。でも、それくらい私がプロレスラーになるというのは誰にとっても想定外のことだったんでしょうね。

▽レディ・C
1994年11月17日生まれ、千葉県出身。スターダム所属の女子プロレスラー。日本の現役女子プロレスラー最長身の177cm。得意技は「河津落とし」「脳天唐竹割り」など。Twitter:@LadyC_stardom/Instagram:ladyc_stardom

【後編はこちらから】スターダム レディ・C「反対していた父が堂々と応援できるようなプロレスラーに」
AUTHOR

小野田 衛


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