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UPDATE|2021/03/06

決勝大会で卒業発表、NMB48と白間美瑠が“ナンバトル”で感じた確かな手応え「難波魂を渡したい」

2日、大阪・オリックス劇場で行われた「NAMBATTLE~戦わなNMBちゃうやろっ!~」決勝大会より 撮影/東由樹


ふたつめの兆候は、ある映像にあった。NMB48がアップしているYouTubeの動画。そのなかに、「どうしてあげたらいいかわからへん」と後輩の指導に悩む白間の姿が映し出されていた。ダンスの先生であるAKIRA氏と白間が話している。白間はどう教えていいのかわからないと悩んでいた。それまでは1期生の中でも妹的存在だったので、誰かに教えるという作業とは無縁だった。それに、白間は「自分をどう見せるか」に強い関心を抱いているので、他のメンバーにまで関心が行き届かない。メンバーと群れることもあまりしない。昨年の取材でこんなことを話している。

白間「絡む時は絡むけど、自分は自分という感じです。いいところがあれば、褒めますけどね」

後輩にしっかり向き合って教えるのは初めてだったのだろう。しかし、この時点でおそらく卒業を視野に入れていた白間は、このNAMBATTLEがグループへの最後の奉公だと考えたはずだ。

「みっくすじゅーす」の順位は思うようには伸びなかった。最後まで首位争いはできなかった。若手が多いのだから当然だ。しかし、白間の仕事は若手のモチベーションを引き上げることだった。
NAMBATTLEの3クール目が終了し、白間はYouTubeの密着映像でこう話した。

「点数は悔しいけど、目標の命がけで、全力で、悔いなくやるっていうのはみんなでできたと思うので。やり切ったって感じです」

自分ができることはやった。後輩たちもやる気を出してくれた。たしかにこのグループは大きく伸びた。順位は伸びなかったが、点数は伸びたことがそれを証明している。白間も手応えを感じていた。10年間学んできたことを後輩に託すことができた、と――。卒業する意志はこの時点ではっきりと固まったのではないか。

では、白間はこの先どのようにして生きていきたいのか。

卒業発表時のコメントでは、「パフォーマンスも女優も、いろいろ挑戦していきたい」と表明しているが、昨年の時点で白間は将来を考えると焦りを感じていた。

白間「NMB48に入って、10年経って。周りの子たちは社会人になって、自分で生きるためのお金を稼いでいます。自分もそれを考えているけど、この年齢になっても何がしたいかも思いつかへんくて」

それを父は指摘した。すると、娘は反発した。何度もケンカになった。とはいえ、白間の考え方のベースを作ったのは父だ。白間は「気合い」や「魂」という言葉を好んで使うが、これらは父のボキャブラリーである。娘がアイドルになってから何年も、父は車で娘の送り迎えをした。娘が車から降りる間際、父はグータッチを求めた。父は「気合いや、気合い。わかったか?」「いいか、今日はさや姉(山本彩)に勝ってこい!」と仕事に向かう娘の背中を押すのが恒例だった。

白間はNMB48からも父のサポートからも独り立ちしようとしている。それが彼女にとって卒業することの意味だ。これから何になるのかは見守るしかない。だが、NMB48で学んだこと、そして父から教わったものがあれば怖いものはない。グループ内の競争や父のほうがよっぽど怖かったからだ。

【あわせて読む】NMB48が“ナンバトル”で得た収穫とは? 劇場公演3クールを忖度なしで徹底レポート【写真18点】
AUTHOR

犬飼 華


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