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UPDATE|2021/03/03

女優・田村芽実、「お願いからお誘いに変わった瞬間」コロナ禍&初クラファンで得た“気づき”

田村芽実 撮影/荻原大志



<無観客だからゲート収入は0円。そのぶんを配信チケットで売ればいいのではないですか?>

「私もそう考えたんですが、結論としては難しかったんです。1つの舞台を作るためには、とにかくいろんな経費がかかってしまって。それに加えて舞台というのは他のエンターテインメントと比較しても、配信で収益化しづらいという性質があるというのを学びました。当たり前ですが、やっぱり生で体験したいという声がすごく多いジャンルなんだと思います」

<リターンの内容はどのようにして決めたんですか?>

「すべて自分で決めました。最初から考えていたのは『ひめ・ごと』という作品に関連した内容にしたいということ。一例を挙げるとカセットテープですね。劇中でも重要な役割を果たしているので決めたんですけど、リターン品には劇中の歌と感謝のメッセージを吹き込んだものを送ります。あるいは作品中に出てくるお手紙と同じ便箋で私からの感謝の言葉を綴ったりとか。要するにリターンも作品の一部なんです。どのリターンも単なるおまけではなく、独立した作品になっているレベルだと自信を持って言えますから。リターンを待ってくれている皆様には楽しみにしていてほしいです」

<リターンにある「いつか劇場でソロミュージカル本公演を行った際の特別招待チケット」というのはどういうことですか?>

「これは私がもっともこだわったリターン品でした。5万円もするのですが、最終的には29人の方に応募していただきました。スタッフさんからは『本公演ができるかどうかは今の時点で分からないんだから、やめた方がいいんじゃないか?』という反対意見も出たんですが、どうしても私はこれを入れたかった。

というのも今回はコロナでやむをえず配信になりますが、私は女優ではなくて舞台女優なんです。だからこそ、いつかこの『ひめ・ごと』を生の状態でお客さんにお届けしたいと考えています。この企画は、収録を終えた段階でも、配信を終えた段階でもなく、実際に劇場で本公演を実現させたときに初めて成功したと言えると思っています。そのときに、クラウドファンディングで支援していただいた皆さんに、『皆さんのお陰で本公演までたどり着きました。ありがとう』という感謝の気持ちを込めた席をご用意し、いい席で本公演を観ていただきたかったんです。あしながおじさんみたいな(笑)。とはいえ無責任に夢だけ語るわけにもいかないですから、もし3年以内に本公演ができなかったときはチケット想定額を返金するということになっています」

CREDIT

取材・文/小野田衛 撮影/荻原大志


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