「当時は『なんで私なんだろう?』って戸惑いました。ドラフト2期生では他の2人(村川緋杏、今村麻莉愛)のほうが、すごく個性があるじゃないですか?」
そう語る松岡はなだが、そのとき筆者はあることを思い出していた。
彼女が初のセンターに選ばれたとき、宮脇咲良から意見を求められた。「はなのセンター、どう思いますか?」と。
正直な話、ドラフト1位の子が超速でセンターに立つことは大賛成だ。しかし、まだ松岡はなのパーソナルな部分をよく知らなかったので「まだピンと来ていない」と答えた。すると宮脇咲良は「じゃあ、一度、劇場公演を見てくださいよ。一瞬でピンと来ますから!」。
ほどなくして西鉄ホールでの公演を見た。
たしかに開演から5分と経たずにピンときた。
圧倒的な笑顔と客席まで届くオーラ……これはセンターの器である。
それと同時に劇場公演が頻繁に行われていることのありがたさを知った。もし、劇場公演がなかったら、宮脇咲良から「見てください」と言われても、次のコンサートまで待たなくてはならない。もし、数か月、コンサートがなかったらピンと来るチャンスすらなかった。だからこそ新劇場オープンは、ものすごく大切なことであり、HKT48の若いメンバーにとってはとてつもないチャンスが転がっていることになる。