──乃木坂46を卒業したのが2019年3月でした。1年近く経って、仕事への取り組み方に変化はありますか?
衛藤 自分に優しくなりました。グループにいると、どうしても誰かと比べてしまうので、自分に厳しくしないと頑張れませんでした。入った当初は特にですが、強くいなきゃいけないと思っていました。卒業後は時間をゆったり取れるようになったので、「おっとりしたね」と言われるようになりました。環境によって人は変わるということを実感しています。
──常に気を張ってもいたでしょうし。
衛藤 そうですね。以前は自分にも厳しくしていた分、人に対しても厳しくなってしまう時がありました。そのつもりはなかったけど、結果としてそうなっていました。でも、卒業後は、自分を労わってあげられる人が他人にも優しくしてあげられるんだな……なんて、空を見上げながら考えています(笑)。ここ何年か、空なんて見たこともなかったし、地面を見ればアリが歩いている。そんなことにも気づけませんでした。でも、それは当時の自分が前だけ見ていたからなんですよね。上や下を見る余裕がなかったのかもしれません。朝、パンを焼いて、コーヒーを飲んで……という時間の幸せを今は改めて感じています。
──心の余裕が、いい方向に向いている証拠ですね。
衛藤 以前はお休みがあると不安でした。「お仕事入れてください」ってお願いしていましたから。でも、今は朝起きてから、「今日は何しよっかな」と考えることもあるし、昼までだらだらしていることもあります。会いたい時、会いたい人に会いに行ける。心身ともにより充実した時間を過ごしています。
──1月8日にはフォトブック『Decision』も発売されました。
衛藤 アイスランドと(出身地の)大分県で撮り下ろしました。メイクやコスメのページもあって盛りだくさんですが、特にお勧めはインタビューのページです。卒業した今だからこそ話せることも書かれています。あと、母との対談も収録されていて、スタッフさん達もみんな、「感動した」と言ってくれました。自分を知っていただくためのコンテンツを入れたかったので、写真集ではなく、フォトブックにしたんです。お手に取ってくださるとありがたいですね。
▽映画『静かな雨』
2月7日(金)より全国順次公開
出演:仲野太賀、衛藤美彩、三浦透子、坂東龍汰、古舘寛治、川瀬陽太、河瀨直美、萩原聖人、村上淳、でんでん
監督:中川龍太郎
原作:宮下奈都『静かな雨』(文春文庫刊)