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UPDATE|2019/12/08

中川翔子、今だからこそ振り返る亡き父のこと「初めてのライブまでずっと嫌いだった」

撮影/松山勇樹


幼少期と思春期の背景には、好きなことに真っすぐ行ってほしいってメッセージを込めています。今年8月に『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』という書籍を出させて頂いたんですけど、それをきっかけに番組やSNSで中学生や高校生と繋がる機会が多くて、実際に会って話すこともあるんです。

すごく悩んでいる子、思い切り青春を謳歌している子、いろんな子がいます。私自身はだいぶ陰にこじらせるタイプだったので、すごく思春期に悩んでいたんです。

二十代前半まではなくしたい記憶だと思っていたんですけど、この頃に見つけたものが今の糧になっているし、後に自分を助けてくれたんです。そう考えると、大変だったかもしれないけど、あの時代があって良かったなって思います。そして生きていて良かったなと。

『赤盤』の背景にある遊園地は、今は壊されて存在しない場所を記憶とYouTubeを元に描きました。後楽園ゆうえんちです。今は東京ドームシティになって別物になりましたからね。その前に走っているのは昔の赤い丸ノ内線です。『青盤』では今と未来を描いたんですけど、大好きな中野サンプラザが、いよいよ壊されると聞いたので、絵に描いておけば残るだろうと(笑)。

『緑盤』で私が右手に持っているのは綿毛です。アルバム名にもなった『RGB』という曲は自分で作詞したんですけど、「綿毛と一緒に 風に乗った」という一節があります。先ほどお話した、父の遺品から出てきた写真を見て、綿毛を集めていたなと思い出したので詞にしたんですけど、絵にも描きました。

父は歌を歌ったり、当時としては珍しくアニメの声優もやったり、お芝居もやったり。だいぶマルチにやっていたところも私に似てるなって思います。今でも「お父さんと会ったことがあります」「お父さんとお仕事したことがあります」って声をかけて頂くことが毎月のようにあって、足跡を探しているような気持ちでいます。
AUTHOR

猪口 貴裕


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