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UPDATE|2024/02/24

吉田美月喜、映画『カムイのうた』でアイヌ役に挑戦「地元の方に認めてもらえるのか不安だった」

吉田美月喜 撮影/たむらとも

映画やドラマなど話題作に出演し注目を集めている女優・吉田美月喜。現在公開中の映画『カムイのうた』ではアイヌ民族が詠い継ぐ“ユーカㇻ”を日本語に訳し、19歳でこの世を去る主人公を演じている。今回、映画を通じて学んだアイヌ文化と役への想いを語ってくれた。

【写真】『カムイのうた』でテルを演じた吉田美月喜 撮り下ろし写真【6点】

──映画『カムイのうた』で主人公・テルを演じてみて、いかがでしたか?

吉田 まずお話をいただいた時、私はアイヌ文化について詳しくなかったので、まずそこから勉強を始めました。そしてテルのモデルである知里幸惠さんのことも勉強して、役作りを進めていきました。撮影当時私は19歳で、知里さんが亡くなられたのも19歳。知里さんはいろんなものを抱えそれを命をかけて残していった方なので、知れば知るほど彼女の強さに惹かれましたし、同時に「自分よりもずっと大人だな」という印象も受けました。

ただ、実際に北海道へ行き「知里幸惠 銀のしずく記念館」で勉強させていただくと、そこには家族との可愛らしい手紙のやりとりだったり、19歳らしい一面も見えてきて。最初は遠い存在に思えたけれど、次第に自分に近い部分も見つけられて、親近感を持って演じることができました。

──演じる上で、菅原浩志監督からはどのような指示がありましたか?

吉田 菅原監督はリアルさを追求される方でした。作品内で私はムックリというアイヌ民族の楽器を演奏しているんですけど、一般的に映像作品では音は別に録って差し替えることが多いと思うんです。でも監督は「絶対に吉田さんの音で、現場で録ったものしか使わない」とおっしゃって。なので私はムックリの音を鳴らすところから練習を始めて撮影に臨みました。

あと、着物を着るシーンや袴をたたむシーンなど、日常的な動作は練習してほしいと言われたので、私も毎日家で動画を撮って練習しました。アイヌ文化を知らない私にとってはとても苦労しましたが、だからこそリアリティのある作品になったと思っています。

──撮影も北海道で行なったんですよね。

吉田 はい、夏と冬に北海道へ行って撮影しました。夏は1カ月間滞在して、とても過ごしやすかったです。私は時代物の作品に挑戦するのが今作が初めてだったので、どのように気持ちを切り替えればいいんだろうと最初は悩みました。でも実際に北海道に行ってみて、その景色に助けられました。普段自分が見ている景色ではないからこそ、作品の世界観に入り込みやすかったなと思います。

──冬場の撮影はいかがでしたか? 夏と比べて、きっと厳しい環境だったと思うのですが。

吉田 そうですね、とにかく寒かったです。私は袴の下に現代の温かいインナーを着て撮影をしましたが、当時の方はどのようにこの寒さをしのいでいたんだろう? と思いました。また、当時使われていたものと同じ藁のブーツを履くシーンもあって。藁なのに水や雪が中にまったく入ってこなくて、アイヌの方の生活の知恵というか技術の高さに驚きました。
AUTHOR

左藤 豊


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