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UPDATE|2024/02/17

2024冬ドラマはコンプラとの戦い? 攻めまくった内容の「覇権ドラマ」候補が続々登場

『不適切にもほどがある!』ポスタービジュアル(ドラマ公式Xより)

意欲的な作品が次々と生み出されている、近年のドラマ業界。2023年には、バカリズムが脚本を手掛けたタイムリープもの『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)が大きな話題を呼んだことが記憶に新しい。

【関連写真】『不適切にもほどがある!』第3話で、昭和の深夜番組のMCを演じる秋山竜次【4点】

2024年1月から始まった冬ドラマも、いろいろな意味で“攻めまくった”内容の作品が目白押しとなっているので、今からでもチェックすべき注目作を3本取り上げていこう。

■ネット上で激論を巻き起こす『不適切にもほどがある!』
『不適切にもほどがある!』(TBS系)は、日本のエンタメ界を代表する脚本家・宮藤官九郎と三枚目俳優の雄・阿部サダヲによる「グループ魂」タッグが贈るコメディドラマ。阿部扮する中学校教師の小川市郎が昭和から令和にタイムスリップし、波乱を巻き起こしていくという設定だ。

第1話の冒頭から、一人娘・小川純子(河合優実)を現代ではありえない語彙で罵倒していくという衝撃の幕開けで、その後も“容姿イジリ”を始めとした時代錯誤な言動のオンパレード。学校の教室やバスのなかで喫煙したり、野球部の練習中に水を飲むことを禁じたりと、いかにも昭和的な行動を見せつけていく。極めつけは、短めのスカートを履いた令和の女子高生に「痴漢してくださいって言ってるようなもんだぜ」と言い放ち、ドン引きされるシーンだろう。

視聴者への配慮として、「この作品には、不適切な台詞や喫煙シーンが含まれていますが、時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み、1986年当時の表現をあえて使用して放送します」というテロップが冒頭に掲げられるのだが、同じ文言が中盤でふたたび表示されるユーモラスな演出も話題を呼んだ。

“昭和のおやじ”のデリカシーのなさをコミカルに描く一方、コンプラや多様性を重視する令和の価値観をぶった斬るような側面もあり、どんな方向に転がっていくのか分からないスリルが同作ならではの魅力と言える。しかし「昭和を持ち上げて令和を風刺することが目的のドラマなのではないか……」と警戒する視聴者も多いようだ。また第3話では、セクハラ問題をめぐる展開があり、SNS上で激論を巻き起こすきっかけとなっていた。

とはいえ、宮藤自身は『週刊文春』で連載中のエッセイ「いまなんつった?」にて、あくまで「認識のズレ」を描こうとするドラマであり、昭和おやじの主張を真理だとする意図はないと語っている。NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』などで日本の近現代と向き合ってきた脚本家でもあるので、その筆にはたしかなバランス感覚が宿っているはずだ。


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