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UPDATE|2023/07/21

【何観る週末シネマ】理不尽な人生、先に進むことの大切さを問う『裸足になって』

(C)THE INK CONNECTION - HIGH SEA - CIRTA FILMS - SCOPE PICTURES FRANCE 2 CINÉMA - LES PRODUCTIONS DU CH'TIHI - SAME PLAYER, SOLAR ENTERTAINMENT

この週末、何を観よう……。今週公開の作品の中から、映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、7月21日(金)より公開されている『裸足になって』。気になった方はぜひ劇場へ。

【写真】トロイ・コッツァーが製作総指揮『裸足になって』場面写真

〇ストーリー
北アフリカのイスラム国家、アルジェリア。内戦の傷が癒えきらぬ不安定な社会の中でバレエダンサーになることを夢見るフーリアは、貧しくもささやかな生活を送っていた。しかしある夜、男に階段から突き落とされ大怪我を負い、踊ることも声を出すこともできなくなってしまう。すべてを失い、死んだも同然の抜け殻となったフーリアだったが……。

〇おすすめポイント
『コーダ あいのうた』(2021)で第94回アカデミー賞助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーが製作総指揮を務める今作。

『コーダ あいのうた』も優しさに包まれた作品ではあったが、今作でもその要素を感じとることができる。

バレエダンサーになることを夢見ていた主人公フーリアが突然、バレーを踊れない体になってしまい、声も発することができない……。

未来が絶たれた絶望の中で、フーリアを救ったのは、母や周りの人々による、絶望をも上回る優しさだったのだ。

理不尽だからといって、そこに立ち止ることよりも、残されたもので何ができるかを考えて、前向きにセカンド・チャンス、サード・チャンス……と向かっていく。それこそが人生であると全編を通して語っているような作品である。

つまり邦題となっている『裸足になって』というのは、バレーシューズを脱いだフーリアに何ができるのかという、問いと現状を表しているのだ。

また今作はアルジェリアが舞台ということもあって、所々にアルジェリア・ポップが多く使用されている。RIMAやZoheir Bahaouiといったアーティストの曲やクライマックスの創作ダンスシーンも必見だが、ここで使用されている今作の音楽を手掛けたMaxence DussèreとYasmine Meddourによる「Houria」にも耳を傾けてもらうことで、楽しめるポイントがより増えるはずだ。

〇作品情報
製作総指揮:トロイ・コッツァー
監督: ムニア・メドゥール
出演: リナ・クードリ、ラシダ・ブラクニ、ナディア・カシ
配給:ギャガ 原題:HOURIA/99分/フランス・アルジェリア/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/字幕翻訳:丸山 垂穂
公式H P:https:// gaga.ne.jp/hadashi0721
7月21日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー

(C)THE INK CONNECTION - HIGH SEA - CIRTA FILMS - SCOPE PICTURES FRANCE 2 CINÉMA - LES PRODUCTIONS DU CH’TIHI - SAME PLAYER, SOLAR ENTERTAINMENT

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