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UPDATE|2023/04/24

集落の呪縛から逃れられない男を横浜流星が熱演、日本社会の縮図を描く『ヴィレッジ』

(C)2023「ヴィレッジ」製作委員会© 2023 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved. 2

日本も海外も、集落や田舎を舞台とすると、なぜこんなにも負の要素満載の物語やホラーばかりが出来上がってくるのだろうか……。現在公開中、横浜流星主演の映画『ヴィレッジ』も例外なくソレであるし、「村」と聞くと、もはや怖いイメージしかない。

【写真】横浜流星の体当たり演技も話題に、映画『ヴィレッジ』場面カット【11点】

過去には『悪魔のいけにえ』(1975)や『サランドラ』(1977)のように、殺人鬼やモンスターを田舎への恐怖として登場させた作品もある。そういったジャンルホラーの『クライモリ』(2003)は、リブート版『クライモリ』(2021)で、コミュニティそのものの恐怖を描いた。リブート版は現代的なアプローチで描いており、オリジナル版に登場したクリーチャーは存在していない。

つまり世界的にも、「田舎」というだけで、「コミュニティ」というだけで、現代的な視点からその素材を活かせば、普通に怖いということ。日本でいえば、1953年にその名もズバりな『村八分』という作品があり、近年も『楽園』(2019)や『ノイズ』(2022)など、様々な視点からそういったテーマを描き続けている。

映画『ヴィレッジ』は、『新聞記者』(2019)や『ヤクザと家族 The Family』(2021)など、社会の闇を切り取った作風が特徴的な藤井道人が、独特の距離感と視点で集落というものの闇を浮き彫りにした。映画的に多少の誇張はあるかもしれないが、日常から切り離されたフィクションだとは思えない作品である。

集落というもの自体がひとつのコミュニティみたいなもので、違った意見は良しとしない関係性に向かうことも多い。異なった意見や思想を持とうなら、孤立してしまい、村八分。一時期はセミリタイア者にとって、田舎暮らしは良いものとして描かれたりもしてきたが、近年は圧倒的に負の要素として描かれることが多くなってきた。

嫌なら出ていけばよいのかもしれないが、見えない鎖によって逃げられない、もしくはずっとそこで育ってきたからこそ、他の世界を想像できないほどに洗脳されていて逃げ場がないと思い込んでしまっている。


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