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UPDATE|2023/04/22

「Uターン芸人」東京志向の塊だったダイノジ・大地が50歳で拠点を地元・九州へ移した理由

撮影/松山勇樹


――確かとんねるずに憧れ東京を目指したんですよね。ザ・東京のお笑いを目指した大地さんがこの選択をすんなり受け入れたのは個人的に驚きでした。

大地 僕も驚いてます。大谷さんによく言われるのですが、僕はメチャクチャ東京志向が強い人間で(笑)。子どもの頃にとんねるずさんと出会い、スゲー!これが東京だ‼東京のお笑いってカッケー‼という衝撃が走り、それが憧れに代わったんですよ。

そこからはもう、地方にいることへのコンプレックス、東京への夢が加速していく一方。高校卒業したあと就職先は、もうどこでもいいからとにかく東京の会社に入ろうとばかり考えていましたね。僕の兄貴(大地大介、バンド「fOUL」ドラマー)が先に東京に行ったので、母一人を残すのは不安があり最初は相当迷いましたが、母が「東京に行きなさい」と背中を押してくれ、ならば東京に行くしかないなと。

上京したての頃は、東京で生活している、東京の空気吸っている……それだけで文化人になった気分になっていましたね。一応端から都心の近くまで一通り、東京の形を経験してきました。東京に家も買って、結婚して都心と呼ばれる場所で家族と生活している。けど、いろいろと仕事をして揉まれていく中で、「あれ?この状況、俺が東京に片思いしているだけなんじゃないか?」って思うようになって(笑)。

――それは寂しい(笑)。

大地 勝手にこっちが東京という街を、大きく見すぎていただけなんですけどね(笑)。ただ、徐々に実家が恋しくなってきたのも事実。実家に帰るたびに、東京で生まれた子どもたちが、「大分って、めちゃくちゃ楽しいじゃん!」って東京にはない大分の良さ逆に教えてくれるんですよね。僕が「長く住めば飽きるかもよ」と言っても、「いや、これは絶対に楽しい」と返してくれる。それならみんなで楽しく過ごせる街で生活しよう、なんなら九州で仕事して、微力ながらも僕たちでこの街を盛り上げられたらいいんじゃないか?って前向きな気持ちになっていったんですよ。

――大地さんは前向きにとらえている中、見送る人たちの方が余計な心配をしている気がします。

大地 まさにそうで。やっぱ僕ら世代の人は、芸人・サラリーマン限らず「ああ、アイツら都落ちか」という見方をするんです。正直僕は何言われようとも気にしないのですが、その「都落ち」って言葉はこの時代には合わないなあって。もう、これだけ交通もネットも発達した中で、どこが都なのかって、あまり意味ないなあって。そもそも東京だけが都なのか?と、それは違いますよね。各地に都がある中、俺たちは九州で俺たちの都を作るぞ!って(笑)。
AUTHOR

田口 俊輔


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