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UPDATE|2023/03/20

広瀬すず×永瀬廉『夕暮れに、手をつなぐ』方言から読み解く、空豆の人物像と未来への布石

『夕暮れに、手をつなぐ』(C)TBS

3月21日(火)に最終話を迎えるドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)。初回放送後は主人公・浅葱空豆(広瀬すず)の方言が大きな反響を呼んでいたが、終わりが近づくにつれてその声は少なくなり、ストーリーに集中する声が大多数を占めるようになっている。

【写真】独特な方言も話題に『夕暮れに、手をつなぐ』での広瀬すず【4点】

もともと野生的で自由奔放な空豆だが、話が進むにつれ、独特な方言の使い分けが「空豆らしさ」を表しているのではと思うようになってきた。空豆がよく使う言葉から、「浅葱空豆」という一人の人物像について探っていきたい。

本作は、九州の片田舎で育ったチャーミングな女の子・浅葱空豆と、都会で育った音楽家を目指す男の子・海野音(永瀬廉)の青春ラブストーリー。幼なじみの婚約者を追って上京した空豆が、音と運命的な出会いを果たすことから物語が始まる。2人は、ひょんなことから東京の一つ屋根の下で暮らすこととなり、それぞれの夢を追いかけ、笑いあい、ケンカし、励ましあいながらともに時間を過ごす。とっくに恋に落ちているのに、なかなか進まない、夢を追う2人の美しい物語だ。

脚本を手がけるのは、『愛していると言ってくれ』『ロングバケーション』『ビューティフルライフ(Beautiful Life)〜ふたりでいた日々〜』など、これまでに数々の恋愛ドラマを生み出してきた北川悦吏子。近年は『半分、青い。』などでも知られるが、青春ラブストーリーを手がけるのは『オレンジデイズ』以来、実に19年ぶりだという。

本作で空豆が話すのは、宮崎・長崎・鹿児島の方言をブレンドした“空豆語”という新しい言葉。北川氏によると、「空豆を九州出身にしたくて九州の言葉を全部聞いてみたけれど、ピンとくるものがなかった」らしく、空豆のおばあちゃんが長崎、おじいちゃんが宮崎という設定にして“空豆語”をつくったことを明かしている。

そんな“空豆語”の中で、空豆が特によく使う方言を少しずつ紐解いていきたい。まずは、「うまか」「冷たか」のように使われる「〜か」。「うまい」「冷たい」などの形容詞「い」が「か」に変わる、九州のいくつかの県で使われる方言だ。

これらは、何を言いたいかこそ通じるものの、使うだけでどこかの地方の方言だと分かる。年齢を問わず九州で使われる言葉であるからこそ、理解できる人も多いだろう。「すると?」「おらんと?」などと使う「〜と」や、「〜ばい」「〜けん」なども同様に、何が言いたいかはかろうじて伝わる方言だ。

次に、「とても」「大変」などの意味を持つ鹿児島の方言「わっぜ」。第1話で、空豆が「おいの言葉は長崎と宮崎のちゃんぽんさ」と話すシーンがあったが、宮崎の中でもえびの市という、鹿児島にほど近い地域の出身だからか、鹿児島の方言も混ざっている。

「わっぜ」は、初めて聞く人には理解しがたい、方言の中の方言ともいえる言葉だ。この方言をためらいなく使う空豆は、都会に目を向けず、田舎にどっぷりと浸かってきた女の子であることがうかがえるだろう。

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