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UPDATE|2023/03/17

竹内涼真が解離性同一性障害の難役に挑戦「固定観念を捨てる大切さを学んだ」

竹内涼真 撮影/西邑泰和



「沢村さんが大きな懐で受け止めてくださるので、一緒にお芝居をするのが楽しかったです。目の前のキャッチボールを大切にしてくださるので、その場で生まれるものもたくさんあり、いい距離感でお芝居させていただきました」

沢村とのやり取りから、役に深みが出た部分もある。

「例えば、交代人格のカブトは愛情に飢えている7歳の男の子なんですけど、このカブトを沢村さん演じる獅子舞がかわいがってくれるんです。カブトにとっては愛情をもらえるチャンスだから、それを逃さないように一生懸命頑張ります。実際演じていて、獅子舞が向けてくれる愛情に対して湧き上がってくる気持ちは、台本を読んでいたとき以上のものがありました。他の交代人格のバクにも、獅子舞にはあまり圧をかけたくないなと思う気持ちが出てくることがあって。沢村さんは目の前で起こることに繊細なリアクションをしてくださるので、それが今回発信する側を演じる僕としてはすごく助かりました」

複数の人格を演じ分けるようなキャラクターを担うのは、本作が初めてだという竹内。「僕がこういう役を演じるのを皆さん見たことがないと思いますし、自分もすごく挑戦してみたかったので、今回演じることができてうれしかったです」と笑顔を見せるが、本作への出演は自身にとっても新たな挑戦になったという。

「僕が今回、この役を通して気付いたのは固定観念を捨てる大切さです。自分のなかでの決まりをなくして、いろんなアイデアを抽出するという作業を役作りの過程で行いました。その結果、自分のスタイルはこれだ、と決めつけるのではなく作品ごとに新たなスタイルを見つけていくのが大事だということに気づきました。新しいものに挑戦するときは自分が興味を持ったことをいろいろ試してみたいと思います。あとは周りを見て頼ることの大切さも実感しました」

連続誘拐事件を発端に、元刑事とDIDを抱える青年との深い人間ドラマが描かれる本作。「感情移入できるところも多い」とアピールする。

「『人は誰だって、いくつもの顔を使って生きている』という獅子舞のセリフがあるんですけど、結構みんな図星なんじゃないのかな。意識的に変えている人もいれば、自分がいる場所や雰囲気によって自然と変わる人もいると思うんです。僕自身も現場にあわせて佇まいを変えることがありますし。そういった部分も含めて、単にシリアスで難しい内容ではなく、人間を深掘りした厚みのあるドラマになっています。人間の愛をしっかり描いた作品をお見せできるんじゃないかなと思います」

取材・文/吉田光枝

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