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UPDATE|2023/01/27

『罠の戦争』で6年ぶりのドラマ主演、草彅剛の演技が注目される理由

『罠の戦争』(カンテレ)公式サイトより


今回の草彅の演技で注目すべきは、「怒り」の演技に加え、「怒りを抑える表情」の見事さだ。秘書として尽くしている温厚な表情から、犬飼から思いがけない要求を突きつけられた瞬間の表情の変化、ふつふつと湧き出る怒りを抑えている顔の動きは凄まじさがあった。犬飼を失脚させることを誓う場面では、怒りがどんどん大きくなり、最終的には震え上がるほどの怒りを表現した。「許せない」という感情がこちらまで伝わってくる演技は圧巻だった。

また、その感情を震わせた後の犬飼とのシーンでは、これまでの温厚な顔から恨みを持ちながら接する顔つきに変わっていてこれまた見事だった。

これには草彅の「目」の動き、表情が大きく関係している。ここぞというシーンでは鋭い眼光に変わるのだ。草彅は目で演技できる俳優で、例えば『任侠ヘルパー』でヤクザ役を演じた際は、荒々しい話し方だが、凄みの中に人間としてのやさしさが含まれているようにも見えた。

人間にはいろいろな面があって当然。役としてのイメージ付けは大事だが、草彅の演技からは、それをも上回るその人の人間らしさが感じられる。言葉にできない、内に秘める感情は、草彅のように演技が上手い人にしか表現できないだろう。

また、このドラマは同じ「復讐劇」をテーマにした『半沢直樹』と照らし合わせる人もいる。静かながらも何かを秘めた表情が印象的なキービジュアルや、抑えきれない怒りの演技、凄みが重なり合う役者たちの演技合戦が、そういわれる所以かもしれない。同じカンテレ制作で前クールに放送されていた『エルピス』も社会派ドラマだったことから、そこから続けて観る人も多いだろう。

草彅はこのドラマについて、前の戦争シリーズ2作が気に入っていたことから、ぜひ3作目をやりたいと思っていたそう。ドラマ放送前に答えたWebメディア「エルマガジェイピー」のインタビューでは、前作から6年あいたが、その間にいろいろな経験ができたので、結果的には良かったとも話している。

“罠”を仕掛けたり、仕掛けられたり。“ワナワナ”とした感情が1話から伝わってきた本作。「僕自身、ビンテージのギターとかジーンズが好きなので、歳を重ねたがゆえの味わいみたいなものは出せたらいいなと思ってます」(エルマガジェイピー)との言葉通り、これまでの良さを残しつつ、年齢を重ねることでさらに味わい深くなった彼の演技から目が離せない。

【あわせて読む】草彅剛、生まれ変わりたい人は“斉藤和義”「ギターをやりたいです」

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