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UPDATE|2022/09/24

板谷由夏17年ぶりに映画主演「まじめに生きてきただけなのに、なんで独りぼっちなんだろう」

板谷由夏 撮影/武田敏将



──板谷さんが演じる主人公の三知子について、高橋監督からこんな風に演じてほしいというリクエストはあったのでしょうか。

板谷 それが無いんですよ(笑)。何も言われなかったんです。これを撮りたいのが分かるだろう?という感じで。伴明さんはもっと全体像を見ていらっしゃるから、三知子という女性のことは任せる。お前が作ってくれという感じだったと思います。もちろん大まかなイメージはありましたけど、細かいところでこうしてほしい、というのは無かったですね。

──共演者の皆さんの印象もお聞かせください。

板谷 皆さん、濃い方ばかりですよね。どなたもキャッチボールするのが心地いい方々でした。(古参のホームレスを演じた)根岸季衣さんと柄本明さんは、伴明さんとはまた違った意味で巨匠。お二人とも全部を受け止めようとしてくださる方ですし、すごく助けて頂きました。特に柄本さんは演じるのがバクダンという、三知子に物事を伝えてくれようとしてくれる役だったので、安心感がありました。

(三知子が働く居酒屋の店長役とマネージャー役の)大西礼芳さんと三浦貴大さんという若い二人も面白かったですね。とてもお芝居が好きなんだろうなっていうのが伝わってきました。

──主人公の三知子は、コロナ禍によって仕事と家を同時に失い、ホームレスに転落してしまう役どころ。板谷さんが演じるにあたって、一番意識していた部分はどんなところでしょうか。

板谷 悲壮感はあんまり出したくないなと思っていました。三知子自身が「私は不幸」と思ってしまうと物語の見え方が変わってしまうのかなと。三知子は自尊心ゆえに「助けて」が言えずにホームレスになってしまう女性。自分が不幸だと思っていたら多分「助けて」と言えたと思うんですよね。

自分のことを不幸だと思えないから「助けて」も言えず、周りの物事に流されていった結果、ホームレスになってしまった。「世の中、不条理だな」とは感じていたと思います。なので、私は台本のなかに身を投げたというか、三知子に起こることを同じように受けていく。受け身でいることを意識していたように思います。


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