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UPDATE|2022/01/14

鞘師里保、モー娘。卒業から再始動までの“空白”を語る「踊りたい気持ちが湧かないのなら終わり」

鞘師里保 撮影/荻原大志

ソロとして2021年8月にアーティストとして本格的に再始動した、元モーニング娘。の鞘師里保。1月12日に2nd EP『Reflection』を発売、そして15日からは東京・大阪・地元の広島を巡る1stツアーも開催する。そんな彼女に、あらためて「空白の5年間」について聞いた。(前中後編の前編)

【写真】語りかけるような眼差し、鞘師里保の撮りおろしカット【12点】

──今回はソロ歌手として再出発することになった経緯を中心にお伺いできればと考えています。まずモーニング娘。を卒業したのが2015年末。わりと唐突な印象もあったのですが、当時はどのようなことを考えての決断だったのでしょうか?

鞘師 う~ん、とにかく自分の人生を見つめ直したかったんですよね。それまではすごく恵まれた環境にいたので、一度そこから抜け出してみたくて。そこで1人の人間としてどんなふうになるのか、自分でも興味がありましたし。

──アイドルの卒業劇というと、「女優を目指して」とか「モデルになるために」とか次のステップを見据える中で決めるパターンも多いですよね。

鞘師 私の場合、次のビジョンは見えていなかったです。自分でも何をしたいかよくわからなかったけど、でも「パフォーマンスをすることが好き」というのはおそらく間違いなくて……。うまく言えないんですけど、「その気持ち」が内側から自然に出てくるまで自分を泳がせているような状態だったんですよね。「私はいつか踊らなくちゃいけないんだ」というよりは、気持ちが「踊りたい」という方向に自然に向くのを待っていて、逆にその気持ちが湧いてこないようなら私は終わりなんだと考えていました。

──終わり? そこまで追い詰められていたんですか?

鞘師 いや、終わりというのは「人生が終わり」という意味じゃなくて、あくまでも「表舞台に立つのはやめるべきだし、消えたほうがいい」という意味ですよ。ただ、そういった覚悟みたいなものは確かに持っていました。

──「石にかじりついてでもパフォーマンスするんだ」といった強い意思よりは、「今後のことはわからないけど、とりあえずステージからは離れてみようかな」くらいの感覚?

鞘師 そうですね。なんというか……もっと根本的な話として、自分って殻に閉じこもっているくせに中身がない人間だなって感じていたんですよ。このままだと形だけの人になってしまうという一種の危機感がありまして。それだと結局、パフォーマンスも中身がないものになるということじゃないですか。私は何かを伝えられる立場ではないと考えていました。

CREDIT

取材・文/小野田衛 撮影/荻原大志


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