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UPDATE|2021/09/01

ぎょうざの満洲、551HORAI…『秘密のケンミンSHOW』元リサーチャーが語るローカルチェーン驚異の経営術

ぎょうざの満洲/『強くてうまい! ローカル飲食チェーン』筆者撮影



ーー実際、1000人前もキャンセルされたらどうするんですか……。

辰井 サービスを始めて20年以上経ちますが、大きなキャンセルはないそうです。まず天気予報でおおよそ予測できるし、思わぬ悪天候にたたられても、多くは「せっかく作ってくれたから、おにぎりだけ配ります」と引き取ってくれるそうです。お客さんがお店や従業員を慮ってくれるのは、お互いが顔見知りの地元で商売をしているからこその強みでしょうね。

ーーさらに、ユニークな取り組みを行っているお店はありましたか。

辰井 埼玉を中心に展開する「ぎょうざの満洲」では店員からの公募によって年2回選ばれるフェアメニューがあります。すごいのは、選ばれた料理を考案した店員さんの顔写真やコメント、所属店舗がメニューに掲載されること。いい意味で店員さんの承認欲求を満たし、モチベーションを高めるやり方ですね。他にも大阪の「551HORAI」では、豚まん作りや接客を競う「G-1グランプリ」で最優秀の従業員に、「超名人」の印として金バッジを与えています。探せば、店頭にバッジを着けた超名人がいるかもしれませんよ。

また茨城の和食レストラン「ばんどう太郎」では、お客さんの出迎えや見送りなどお店の顔として「女将」がいて、正社員ではなく「パート」を任命しています。さらに熊本の「おべんとうのヒライ」では開発で2年以上の再現をかけるほど苦労した社員・山瀬浩敬さんを讃えて、その名前をつけた人気メニュー「山ちゃんラーメン」があります。社員にやる気を出させる企業文化があれば、おのずとサービスの質も向上しますから。

ーー社員のモチベーションを高めることが地域に愛されるお店作りに寄与しているんですね。

辰井 そうですね。また、看板商品に「ホームラン級の人気」があることも、地元で人気になる要因です。特に今回取り上げたお店は全国展開せず、「ここでしか看板商品が食べられない」となれば、商品に付加価値が付きます。ときには全国からの客もつかめますし、お店が地域の自慢にまでなります。

例えば、北海道の「カレーショップインデアン」にはお客さんから「帯広から出ていかないで」と多数の声が届くほど。ちなみに……岩手の「福田パン」やおにぎりの桃太郎は「普段の生活に根ざすようにオシャレ過ぎない店づくり」を意識しています。さらに、適正価格で利用しやすいことも地方では大事と聞きますね。


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