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UPDATE|2021/03/17

クロちゃんが、アイドルのパフォーマンス力について語る「正確なダンスが必ずしも正解ではない」  

クロちゃん



Task Have Funのふうちゃん(熊澤風花)なんて完全に憑依型の表現者だから、毎回、動きが違うんですよ。もともとの振り付けは決まっているはずなのに。でも、それがライブの醍醐味じゃないですか。完璧にリハーサル通りのものを見せられるより、僕は好きですね。

実際、お笑いでもライブならではの緊張感というのは大事な要素になるんです。団長(安田)なんて打ち合わせにない振りとかを本番で急にブッこんでくるんですよ。僕は基本的に段取り通りに進めたい人だから「おいおい、勘弁してくれよ〜」と内心では思っているんだけど、それで会場の雰囲気がピリッと締まるのは確かですから。そう考えると、やっぱり完成度が高いからって必ずしもお客さんが喜んでくれるわけじゃないのかもしれないな。

僕の好きなグループでいうと、病ンドルとか解散したリンダ3世は、最初から上手さを目指していないんですね。正直パフォーマンスはヨレヨレなんだけど、そこを矯正しちゃったら彼女たちが歌う意味がなくなってしまう。これこそが実力主義のアーティストにはない、アイドル特有の奥深さなんです。

例えば歌手のLiSAファンの人が「今日はだいぶ音程外していたけど、そこがよかった」なんて考えないじゃないですか。一方の病ンドルなんて、わざとヨレヨレしながら病んでいる雰囲気を出そうとしているわけですから。それはそれで一種の真剣勝負なんですよ。

ところが「じゃあアイドルは下手な方がいいの?」って話になると、それは絶対違う。歌でもダンスでも最低限のスキルは必要。練習もしない下手糞な子が「これも個性です」とか開き直っていたら「フザけるな!」ということになりますって。

それからよくあるのは、やっている曲は高度なんだけどメンバーのパフォーマンスが追いついていないパターン。「イタタ……」って思いますよね。僕は自分自身がアイドルになりたかったこともあって、彼女たちをリスペクトしているんです。だからアイドルというジャンルに泥を塗るような真似はしてほしくないんです。地下アイドルであったとしても、努力もしないような子にアイドルと名乗ってほしくない。

AUTHOR

小野田 衛


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