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UPDATE|2021/02/17

二軍からのスタート、STU48の“透明な原石”石田千穂、加入からセンターまでの軌跡を振り返る


そのイベントが開催されている時間帯に、石田は動画を配信した。悔しさはあまり口にしなかった。ファンはその悔しさをそっとくみ取った。お互いにあえて言葉にする必要はなかったのだ。

石田「ホントにひどいですよね(笑)。そのイベントのことはメンバーから聞きました」

そこで彼女は考える。どうしたらいいのか。導き出した答えのひとつは、ファンとの結びつきを強化することだった。その頃から、SHOWROOMでの配信が日課となった。

石田「どんな時もファンの方とお話をしていました。それがファンの方との結束力を生んだのだと思います」

すると、2018年のAKB48選抜総選挙では99位にランクイン(選挙速報では44位)。STU48からは、『暗闇』センターの瀧野由美子とAKB48と兼任している岡田奈々の3人しかランクインしていない。キャリアと結束力がものをいう総選挙において、2年目の新人のランクインは快挙と言っていい。3年前の取材ではこう語っている。

石田「私にとってもファンの方にとっても、本格的に挑む総選挙は初めてだったので、どうすれば少しでも上位に入れるのか、一緒に学んでいく感じでした。でも、一番大きかったのは、私が人前で素の感情を出したことだと思います。それまでの私は、どこかで気持ちをごまかしていました。人前で泣くのがカッコ悪いと思っていたからです。でも、総選挙期間が終わってから、配信中に悔しくて泣くことが何度もありました。本当は泣きたくなかったけど、もっと素を出したかった自分もいて。総選挙を通じて、なりたかった自分になれた気がします」

ランクインを機に、AKB48グループのファンに名前が轟いた。これまで呼ばれなかった仕事にも呼ばれるようになっていた。彼女はすっかりSTU48の主要メンバーのひとりになっていた。だが、もうひと押しがほしかった。

それはファンも感じていた。自分の推しにはセンターになってもらいたい。そう願ってやまなかった。その願いを受けて、石田もセンターに立ちたいと考えるようになる。

石田「ファンの方は後押ししてくださるけど、私はポジションが発表される度に悔しさを感じていました。なんで悔しいんだろと思ったら、ファンの方が悔しがるからなんです。そこで、いつの間にか私もセンターを目指していたんだって気がつきました。応援を形として返すにはそうするしかない。そうじゃないと申し訳ないじゃないですか」

石田を支えるもうひとつのもの、それは家族の存在だ。
AUTHOR

犬飼 華


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