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UPDATE|2024/06/13

中山秀征が語る関西芸人とテレビタレント、10年ぶりに会った今田耕司から言われた"告白"

中山秀征 撮影/西邑泰和

海千山千の芸能界を肩ひじ張らないスタンスでサバイブしてきた中山秀征(56)。共演者の魅力を最大限に引き出す力は以前から定評があったが、最新の書籍『いばらない生き方 テレビタレントの仕事術』(新潮社)が発売前に重版がかかるなど、その哲学と戦略に改めて注目が集まっている。そこで本人を直撃したところ、テレビでもおなじみの淀みないトークを目の前で展開。これまでの半生からテレビの未来図まで縦横無尽に語ってくれた。(全4回の2回目)

【写真】著書でこれまでの半生を綴った中山秀征

デビューしてまもなくお笑い第3世代の勢いに圧倒された僕たちABブラザーズですけど、当時、特に関西の人たちはすごくストイックだった印象が残っていますね。プロレスで言うと、UWFスタイルみたいな匂いがしました。隙あらば関節技で極めてくるようなイメージ。それも秒殺でね。

僕は新日本(プロレス)育ちだから、根底には受けの美学があった。たとえ相手が弱かったとしても、60分フルタイムで闘うという“風車の理論”ですよ。こっちは相手の技もしっかりもらうつもりでリングに上がっている。だけど彼ら関西の芸人は「誰が一番面白いのかゴチャゴチャ言わんと決めたらいいんや!」とギラギラ目を血走らせているわけです。

そうした中、今ちゃん(今田耕司さん)と『殿様のフェロモン』(フジテレビ系)で一緒にMCをやったんだけど、始まる前から向こうはピリピリしていました。ものすごい臨戦態勢だった。あからさまに「お前なんかと群れる気はない」みたいなムードを出していましたから(笑)。

だけどそれから10数年後に今ちゃんから連絡が来て飲みに行ったんですよ。そこで言われたのは「あのとき、テレビのことを知っていたのは秀ちゃんだけだったよ」ということ。「今、俺はあの頃の秀ちゃんと同じことを番組でやっているんだ」ってしみじみ語るわけですね。ちょっとその告白は感慨深いものがありました。

それと大きいのは、テレビを取り巻く環境が大きく変わったということなんですよ。僕らがテレビに出はじめた時代というのは、まだテレビに“作り物”があった。志村けんさんはもちろんだけど、『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)の流れがあって、ダウンタウンやウッチャンナンチャンもちゃんと作り物をやっていましたし。毎週、会議を重ねてネタ作りをやっていた。きちんと作り物をやることが評価軸として存在していた。

だから僕らがやり始めた『DAISUKI!』(日本テレビ系)は「ただ遊んでいるだけの場面を垂れ流しやがって。フザけてるのか!」って大ブーイングでした。もっともバッシングを受けながらも視聴率はしっかりと取れていたんです。深夜で15%ありましたから……。パチンコを打つだけの内容で1時間、物件探しや料理で1時間……当時は叩かれもしましたが、今となってはそういった番組が多いのは、僕としてはちょっと誇らしいです。

AUTHOR

小野田 衛


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