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UPDATE|2024/05/16

広瀬アリス月9『366日』が春ドラマ“記憶喪失モノ”5本と乱立の中でも異質なワケ

2024年春ドラマでは、記憶喪失にまつわるドラマが5本と乱立している。今回はその中で、広瀬アリス主演の『366日』(フジテレビ系、月曜21時)における記憶喪失の意味と、他ドラマと比較して異質だと言える訳を考察したい。

【関連写真】春の“記憶喪失モノ”ドラマが5本が乱立

まずは『366日』以外の“記憶喪失モノ”4本を見てみると、それぞれに描かれる記憶喪失がミステリーあるいはサスペンス要素をはらんでいる。

『くるり~誰が私と恋をした?~』(TBS系、火曜22時)では、生見愛瑠演じる主人公・緒方まことが、階段から転落した際に記憶喪失に陥る。まことの前に3人のイケメン男性が現れ、それぞれに嘘をつき秘密を隠している。まことが記憶喪失であることにより、過去も、現在目の前にいる男性すらも全てが疑わしい。記憶を失う前にまことが渡すはずだった指輪が、誰に向けたものだったのかを焦点にしつつ、謎が深まっていく。

『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジ系、月曜22時)では、杉咲花演じる主人公・川内ミヤビが、脳外科医でありながら自身が記憶障害を患っている。過去2年の記憶を失い、新しい記憶も1日でリセットされてしまう。ただ、ミヤビを想う同僚医師の検査結果では、そのような記憶障害が残る損傷は見当たらない。治療を担当する脳神経外科教授が何かを隠蔽しており、記憶喪失になった過程も含め闇に包まれている。ミヤビが患者を救いながら、医師として自己再生する上で大きな障壁となっている。

『9ボーダー』(TBS系、金曜22時)では、川口春奈演じる主人公・大庭七苗の前に、身元不明で記憶喪失のコウタロウが現われ恋に落ちていく。コウタロウは、仕事や人間関係に疲れ果てた七苗を沼落ちさせる、可愛らしく優しい男性に見えるが、過去に言い争っている姿を目撃されていたり、私物に1億円の預金残高がある明細票が紛れていたりと危険な香りが漂う。彼をミステリアスで魅力的な人物に見せつつ、そもそも恋に落ちていい相手なのかという疑問も常につきまとう。

『約束~16年目の真実~』(日本テレビ系、木曜23時59分)では、中村アン演じる主人公・桐生葵が、16年前に殺人事件の遺体を発見してしまったことから、それ以前の記憶を失う。その事件の犯人とされ亡くなった父を冤罪だと信じ、葵は事件究明に動く刑事として奮闘する。『主人公を含めた登場人物全員が容疑者候補』だという心理サスペンスだけに、葵の記憶喪失自体が事件の大きな鍵となっている。

以上がミステリーあるいはサスペンス要素を含む“記憶喪失モノ”4本だが、昨今のドラマは視聴率だけでなく、見逃し配信の再生回数も無視できなくなっている。その上、SNSでの考察ブームが続く中で、記憶喪失はその起爆剤になりやすい。怪しい人物を次々と登場させるよりも、『当たり前の日常』そのものが疑わしくなる方が多くの謎を作りやすい。


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