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UPDATE|2024/04/23

『オッペンハイマー』では強烈ベッドシーンも、“薄幸のヒロイン”がハマリ役すぎるフローレンス・ピュー

フローレンス・ピューの公式インスタグラム(@florencepugh)より



ピューの役者としての個性がよく伝わってくる作品としては、グレタ・ガーウィグ監督の『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』も挙げられる。

同作はルイザ・メイ・オルコットの小説『若草物語』を原作としており、19世紀後半のアメリカに生きた四姉妹の人生を描いた物語。そこでピューが演じているのは四女、エイミー・マーチで、家族ぐるみの付き合いがある青年・ローリー(ティモシー・シャラメ)にひそかな恋心を寄せるキャラクターだった。

しかしエイミーの恋は、決してスムーズには進まない。ローリーは元々次女のジョー(シアーシャ・ローナン)に首ったけだった過去をもつ上、ジョーとエイミーのあいだにはちょっとした確執があったからだ。コンプレックスに苛まれ、「ジョーの身代わり」として愛されることを拒絶する彼女の姿は、観る者の心を震わせるほどにドラマチックだ。

小説家になる夢に向けてひた走るジョーと、画家になる夢を諦めて恋に生きるエイミーの生き様が対になっていることも印象的だが、この構図を成立させている立役者は間違いなくピューだろう。ちなみに同作は、彼女が初めてアカデミー賞にノミネートされた作品としても知られている。

そして同時期に公開されたアリ・アスター監督による傑作ホラー映画『ミッドサマー』も、個性的な演技で評判を呼んだ作品だった。同作は北欧にある架空の集落「ホルガ村」で、カルト的な狂気と悦楽の数日間が繰り広げられていくストーリー。そこでピューは、情緒不安定な主人公・ダニーを演じている。

ダニーは家族を失ったトラウマに悩まされている大学生で、彼氏のクリスチャン(ジャック・レイナー)に依存しているのだが、当の彼氏からは面倒くさがられている節がある。このすれ違いによって、運命的な破局が巻き起こるのだが、後に予想もつかない救済が待ち受けている。そのジェットコースターのような展開に観客が付いていけるのは、ピューの壮絶なまでの演技があってこそだろう。

今もっとも注目すべきハリウッド女優の1人、フローレンス・ピュー。この先も薄幸のヒロインを演じていくのか、それとも新境地を切り拓く時が来るのか……。今後の活躍にも注目していきたい。

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