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UPDATE|2024/03/09

実写化成功のカギはどこにある? 脚本家・野木亜紀子が原作ファンを唸らせてきた理由

2024年1月公開の映画『カラオケ行こ!』ティザービジュアル(公式Xより)

マンガや小説などを実写化する際、原作といかに向き合うべきなのか……。これは今に始まった問題ではなく、以前から激しい議論が交わされてきたテーマだが、いまだに答えは出ていない。しかしそんななか、実写業界で“正解”を示してきたように思えるクリエイターもいる。『逃げるは恥だが役に立つ』でお馴染みの脚本家・野木亜紀子だ。

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野木は近年、『アンナチュラル』や『MIU404』などのオリジナルドラマで脚光を浴びているが、元々は原作付きドラマでこそ異彩を放つ才能の持ち主だった。『図書館戦争』シリーズや『アイアムアヒーロー』、『俺物語!!』など、人気原作の実写化に多数携わっており、2016年の『重版出来!』では「東京ドラマアウォード2016」の脚本賞を受賞するに至っている。その半年後、『逃げるは恥だが役に立つ』の大ヒットは言うまでもないだろう。

ところでドラマや映画の脚本において難しいのは、原作とはまったく異なる媒体に合わせて、原作の内容を落とし込む必要があることだ。尺の制限があるため、どのエピソードを使うか取捨選択する必要がある上、実写にしても違和感がないようにさまざまな表現を工夫しなければならない。時には“原作にはないが実写では入れた方がいいシーン”を追加することも重要となるだろう。すなわち原作の上辺をなぞるのではなく、その内容を正しく理解した上で再構成する力が求められる。

野木の脚本が評価されるのは、何といってもこうしたテクニックに関する部分だ。たとえばゾンビものの大人気マンガを原作とした映画『アイアムアヒーロー』では、ストーリーや世界観を上手く実写に置き換えることに成功していた。パニック映画としてのツボを抑えながら、未知の大災害に見舞われた人々の生々しい感情の動きや言動を丁寧に拾い上げており、人がゾンビのような存在(ZQN)になる直前の支離滅裂な言動なども、原作の雰囲気をほぼ“完コピ”している。

そうした原作理解度の高さからか、野木は原作者から強い信頼を寄せられることも多い。実際に『アイアムアヒーロー』の作者・花沢健吾も、1月27日に自身のXにて「原作者も納得の映画版アイアムアヒーロー 初号試写の感動は未だに忘れられない ラッキーだったんだなぁ」といったポストを投稿していた。


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