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UPDATE|2019/10/13

半月板損傷から1年半、HKT48朝長美桜が絶望を希望に書き換えた瞬間【インタビュー】

『OVERTURE』020号より PHOTOGRAPHER/KENTARO KAMBE


 そして、もうひとつ状況が激変したことがある。

 2018年2月、膝を負傷。半月板損傷という大ケガで、朝長美桜はしばらくステージを離れることになる。

 その間、手術をし、厳しいリハビリ生活を送り、今年2月に約1年ぶりに劇場公演のステージに復帰した。しかし、それは「完全復活」というわけではなく、しっかり踊れるわけではないので、公演の中でも動きの少ない数曲だけ登場する、という形での復帰となった。

 全力で踊ることができない、というのはアイドルとして致命傷だ。それでもアイドルにこだわるのには意味がある。

「HKT48にもケガをして、今、ステージから離れているメンバーがいるんですけど、そういうメンバーやファンの方たちに対して『こういう生き方もアイドルにはあるんだよ!』ってことをわかってもらえたらいいなって。

 最初は絶望しかなかったんです。リハビリも辛いし、痛い。でも、いままで時間に追われるような生活を送ってきたので、自分でも気がつかないうちに周りが見えなくなっていたんですよね。それが手術をして、リハビリを続ける中で、アイドルになってからはじめて立ち止まってみたら、ものすごく視野が広がったんです。こうなりたくてケガをしたわけじゃないし、絶対に「ケガをしてよかった」とだけは思いたくないんですけど、休んでいるあいだに『こんな自分にしかできないことってなんだろう?』って考えることができた。あのまま、ずっと追われるような生活を送っていたら、こういう考え方は絶対にできなかったと思います」

 自分にしかできないこと、を突き詰めていったら、YouTubeなどでの動画配信に力を入れるようになっていた。女の子に向けた発信は徐々に広まっていき、ついには夢だったランウェイを歩くことまで実現した(9月8日、神戸コレクション)。朝長美桜はこれを「こうやって、いままでにないアイドル像を作っていきたい」と表現する。大ケガからの絶望を、1年以上かけて、彼女は大いなる希望に書き換えてみせた。
CREDIT

TEXT/KAZUHIRO KOJIMA PHOTOGRAPHER/KENTARO KAMBE


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