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UPDATE|2024/02/23

Z世代が観た『不適切にもほどがある!』、令和の”違和感”の正体とは一体何なのか

『不適切にもほどがある!』公式HPより

宮藤官九郎と阿部サダヲがタッグを組むドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)。毎話放たれる放送禁止用語のオンパレードは、平成中期に生まれた”Z世代”の私にとって大変刺激的なものであった。だが、数日令和で過ごした市郎(阿部サダヲ)が「心にコンプライアンスが芽生えた」と言っていたように、2話、3話と見進めるうちに昭和の「ノンコンプライアンス」を求めている自分がいたのである。本記事ではZ世代の私が『不適切にもほどがある!』のフィルターを通して感じた、昭和と令和の在り方を紐解いていきたい。

【関連写真】『不適切にもほどがある!』第3話で、昭和の深夜番組のMCを演じる秋山竜次【4点】

第一話冒頭、まだ暗闇に炎上防止策とも言える忠告文が流れている中で聞こえた「起きろブス」「盛りのついたメスゴリラ」というセリフ。これが家族間のコミュニケーションだとはにわかに信じがたい。どちらも道徳の授業でそれとなく「言ってはいけません」と教えられてきた言葉だ。

職員室に漂うタバコの煙、女性教師へのナチュラルセクハラ発言、連帯責任でケツバット、部活中は水分補給NG…映るもの聞こえるもの全てが「ありえない」の連続で、この時点で「平成に生まれてよかった」とホッとしたのが正直なところである。

特にタバコは、私が物心ついた時には既に「悪」の存在であった。今より喫煙所の数は多かったが、家の中で吸うなんてもってのほか。個人的に印象的だったのが、第一話で市郎(阿部サダヲ)がタバコを吸いながらバスに乗っているシーンだ。小学生の頃、遠足でバスに乗ったときに気になっていた「背もたれにある小さな箱」の正体を知ることができた。いつの間にか「小さな箱」は姿を消し「携帯灰皿」へと姿を変えたため、幼い頃にそんな疑問を抱いていたことをすっかり忘れてしまっていたのだ。

灰皿だけではなく、日常だった物たちが次々に姿を消し「スマート〇〇」やら「オンライン〇〇」やらに強制的に移行させられた昭和世代と、生まれたときから「スマート」「オンライン」が身近にあったZ世代。日々の生活で「価値観が合わない」と感じてしまうのも、当然のことだろう。

だが「価値観の違い」を理由に、私たちはいつの間にかコミュニケーションを放棄してしまっていたのかもしれない。「昭和生まれの上司は頭が固い」「ゆとり世代だからやる気がない」「Z世代は干渉を嫌がる」…生まれた時代の「枠」にとらわれ、目の前にいる相手の考え方や個人の価値観を知ろうとしていなかった。

AUTHOR

音月 りお


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