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UPDATE|2024/01/24

作家・雨宮処凛が初めてプロレスを観戦してみた“人が誰かを推す原点”を再確認

(C)AbemaTV,Inc.

格差・貧困問題に取り組み、メディアで積極的に発言をしている作家・雨宮処凛が、バンドやアイドルなどを愛でたり応援したりする“推し活”について深堀りするコラムシリーズ。5回目のテーマは、プロレス。人生で一度もプロレスに触れたことがなかった雨宮が、初めて向き合う新境地。今回、令和のプ女子代表であり、プロレスリング・ノアのゲスト解説席でおなじみのタレント・まつきりな氏にも話を伺い、実際に横浜武道館で初のプロレスを観戦した。(前後編の後編)。文・雨宮処凛

【写真】令和のプ女子代表・まつきりな

ということで、初めて訪れたプロレス。 

会場に入ると、中央にはリング、その周りに客席というテレビでよく見る光景が広がっていた。リングの近くでは、緑色のラメのスーツに身を包んだ白人男性がテンション高く司会をつとめている。

と、大音量が鳴り響き、会場の奥からスポットライトを全身に浴びて選手が登場してきた。待望の「入場シーン」だが、生で見ると大迫力だ。ライトや衣装、照明などの演出に、思ったよりも「金がかかっている」という印象を受ける。

入場音楽は、ロック、メタル、ヴィジュアル系風から民謡までと幅広い。衣装も革ジャン風からパリピっぽい原色の羽根をまとったりといろいろだがとにかく派手だ。

そうして試合が始まったのだが、最初の方は新人なのか、それほどキャラも立っておらず、また盛り上がりもなく5分くらいでサクサクと進んでいく。これがいい。タッグマッチが8試合もあるというのに待ち時間がないのだ。なぜなら、ヴィジュアル系バンドで8バンドも対バンだったりするとライブとライブの間に転換の時間があり、待ち時間も膨大になる。

プロレスに行って、その空白の時間がないことに感動した。というか、バンギャってよくバンギャ同士で揉めたりしてるのだが、すべての元凶は待ち時間ではないだろうか。暇ですることないから他の人観察したりしてどうでもいいことでイラついてしまうのかもしれない。が、プロレスにはそんな暇はない。

さて、試合が進むにつれ、選手がマットに落下する時の音が如実に大きくなっていく。迫力が違うのだ。後半になるにつれ、歓声も大きくなる。名前を呼ばれたり、技を決める時に掛け声がかかったりするのだ。気がつけば私も、手に汗握って試合を見ていた。

そんな中、気づいたのは、みんな肌が綺麗でほとんどの人にムダ毛がないということ。私のいた席は試合後の選手がすぐ脇を通り抜ける場所だったのだが、近くで見ても本当に綺麗で毛がない。みんなメンズ脱毛とかに行ってるのだろうか。だとしたら、やはり男性専用のゴリラクリニックとかなのだろうか?

そんなことを考えていると試合は後半に差し掛かっており、リングに上がる選手たちの個性が豊かになってきた。衣装や髪がピンクや金色のチャラ男系や細マッチョ、さわやかな若者風の選手が現れると、客席から女性の歓声が大きくなる。


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