「まさに地獄の日々でしたね」
しかし、このピン芸人という“ギャンブル”が見事的中、2010年、R-1で準決勝に進むと、翌2011年には決勝進出。“クズ漫談”で衝撃を与えると翌年も決勝進出。順調にメディア露出を増やしていく中、今なお続く『ウイニング競馬』のレギュラーに大抜擢される。気づけば今年で番組レギュラー就任12年目に突入。今年3月には初の著書『神の馬券術 年間収支をプラスに変える43の奥義』(KADOKAWA)も上梓。競馬芸人としての座を確立した。
「最近Xで、キャプテンと同じ買い方して勝ったという方からの報告が来て。まあ悪い気はしませんよね」
思わず頬が緩んだ。
波乱万丈の人生に寄り添うように、競馬は常にキャプテン渡辺の傍にいた。いよいよ競馬歴も30年も目の前。改めてキャプテン渡辺にとっての競馬とはなんなのか?
「僕にとって競馬は最強の趣味、これは間違いない。まず、日曜の大レースに向けて、月曜から予想を立てていって、週末を迎える。それだけで1週間ムダなく過ごせます。しかも、歳をとって孤独になっても、競馬好きの集まる場所に行けば、すぐ友だちができる。競馬って不思議なもので、初対面の人でもすぐ繋がるんですよ。もし孤独な人がいたら、迷うことなく競馬を推奨したい。
競馬から学ぶこともありましたね。まず、人の言うことを信じるな!世の中のあらゆる予想が、もうアテにならない(笑)。仕事や学校、SNSで誰に何を言われようと気にせず、己を信じればいいんです。あと個人的に打たれ強くなりました。普通なら耐えられないような負け方を経たことで、どれだけつらい目に遭ってもすぐ回復しますから(笑)。たくさん負けてきましたが、競馬をやって悪かったことはありませんね」