そしてもう1本のおすすめ作は『君に読む物語』です。ニック・カサベテス監督で、お母さんがジーナ・ローランズという女優さんなんですけど、本作には出演もしています。
これは、施設に入っている認知症の女性の傍らで、お爺さんがとある物語を読み聞かせてるところから始まります。
ノアとアリーという身分違いの男女が出会い、格差を超えて愛し合っていくというお話です。
アリーは裕福な家に育った女の子で、その母親は娘には弁護士と結婚してほしいと思っている。ノアはアリーに毎日手紙を書いていたんですけど、このお母さんがずっと隠し続けていたんです。
そうやって、ふたりの関係を断っていたんですが、アリーは弁護士との結婚式の前に、ノアに会いにいってしまうんです。お母さんはアリーを連れ戻しに行くんですが、その時に、砂利工場で働くオーバーオール姿の太ったオジサンを指して、「私はパパじゃなくて、 あの男のことが好きで駆け落ちしたの。でも別れていまのお父さんと結婚した」と告白するんです。それでアリーは説得されて、婚約者のもとに帰ろうとするんですね。
ここで、考えてしまうのは、誰の人生にも選択肢はいろいろあって、そのどれかを選んだからいまの自分がいるということなんです。
相談者の方だって、別の人と結婚する可能性もあったと思うんです。でも、色々あって、今の夫と結婚したわけじゃないですか。 かつて好きだった人がいたかもしれないけど、結局はいまの旦那さんを選んだというのは、変えられない事実です。今の夫と結婚を決めた当時の気持ちを思い出してみてください。
もしかしたら、相談者さんは、昔は旦那さんがそうやって深刻にならないで軽く答えてくれるとこが好きだったかもしれない。それが年を取ってきて、その軽さに耐えられなくなってきた、という側面はないですか。それだと変わったのは旦那さんではなく、相談者さんなんですよね。
やっぱり男女って分かり合えないからこそ魅力的に感じる部分があって、ぜんぜん違う人間だからこそ惹かれ合うこともあると思うんです。
よく、人が恋愛感情を抱けるのは3年が限界です、みたいなことが言われているじゃないですか。確かに、そんなものかもしれないですけど、乗り越えることもできる。
なので、ご夫婦でいっしょに『君に読む物語』『花束みたいな恋をした』を見ていただいて、どっちの映画が好きかでもいいですし、お互いどう感じたかなど、話し合いのきっかけにしていただければと思います。
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