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UPDATE|2023/08/13

有村昆がお悩みを映画で解決「コレクショングッズの箱を妻に捨てろと言われる、本当は飾りたい」

有村昆 撮影:松山勇樹

映画コメンテーターの有村昆が、読者からのお悩みにあわせて、オススメ映画を紹介するシリーズ企画「映画お悩み処方箋」。第5回目の今回は、モノを買ったとき、箱を捨てたくないという男性からの相談。アリコンがレコメンドした、収集癖にまつわる2作とは…?

【関連写真】「松坂桃李は三枚目のオタクにもなれる天才」松坂桃李ら、映画『あの頃。』の眩しい登場人物たち

▽相談
私は昔からゲーム機やフィギュア、スマホなどを買ったときの「箱」を取っておきたいタイプなのですが、妻からは「邪魔だから捨てろ」と言われて、いつも泣く泣く手放しています。本当は捨てたくありませんし、箱を部屋に飾りたいとすら思っています。妻に、箱も中身と同じくらい大事で価値があるということを納得してもらう方法はないでしょうか? (45歳 男性 会社員)

この男性の気持ち、わかります。僕も好きな映画のフィギュアは箱を捨てないどころか2つ買って、1つは鑑賞用、1つは保存用に取っておいたりして、当時のパートナーに怒られたりしていました…。なので、今回の処方箋映画は、ぜひ奥様と一緒に観ていただきたいです。

まずオススメする1本は、邦画で『あの頃。』という作品です。松坂桃李さんが主演で、2000年代くらいのモーニング娘。やハロープロジェクトに青春を捧げた、熱狂的アイドルファンの姿を描いた物語です。

最近は「推し活」という言葉が一般化されましたけど、一昔前まではアイドルオタクというのは世間一般から理解されにくい存在でしたよね。それがモーニング娘。が登場したあたりから認知されはじめたのでしょうか? AKB48の登場でさらなるブームが起こり、いまやアイドルを応援することは普通の趣味になりました。

この作品では、まだちょっとネガティブなイメージだった頃の、アイドルオタクという文化が描かれています。というと、観る前から構えてしまうかもしれませんが、なんたって主演が松坂桃李さんですから、そこは女性にも観やすくまとまっているので安心してください。

この映画のいいところは、アイドルについて知らなくても、オタクたちがすごく楽しそうで、僕もあの仲間に入りたいなと思わせるような描写がたくさん出てくるんですね。大人になって、忘れてしまったような何かが詰まっている。

一般的に物事というのは必ず卒業を迎えるんですよ。学校だって卒業する、子供の頃に好きだったモノも、いつか手放す。でも、オタクカルチャーにおいては卒業がないんです。よっぽど自分が意思を持って離れない限り、いつまでも続けることができる。それを青春というなら、羨ましいじゃないですか。

まわりからみたらバカバカしく見えるかもしれない。でも、アイドルのためとか、フィギュアのためにお金と時間をつぎ込むことの喜びや幸せは誰にも邪魔されるものでもないと思いますね。

それに、推しに傾ける情熱というのは周囲にも伝わる。この作品にも、松坂桃李くんとイイ関係になる女の子が出てくるんですけど、彼女もアイドルに興味を持ち始めて、ハマってみたら意外と楽しそうなんです。

なので、まずは奥様にこの映画を観ていただいて、オタクへの偏見を無くしてもらいたい。アイドルでもフィギュアでもいいんですけど、それぞれに細分化されたオタク文化があって、そこにモノやグッズがあって、思い出と共に大切に所有している。そういう文化に、一旦触れていただきたい。

「ウチの旦那は何を追いかけていて、なぜ箱を大事にするのか?」ということを考えてもらえるきっかけになるんじゃないかと思います。


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