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UPDATE|2023/11/29

1日か?3年か?…ドラマ『ONE DAY』と『下剋上球児』が仕掛けた時間軸のギミックを考える

『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)公式HPより


他方で、3年という長期間を描くのが『下剋上球児』だ。本作は、2018年の夏の甲子園に初出場した三重県の県立白山高校野球部を追った書籍「下剋上球児」(菊地高弘著)からインスピレーションを受けている。

下剋上とは、訳ありな教師・南雲(鈴木亮平)とともに弱小野球部が甲子園に初出場を決めることであり、ドラマでもそこまで描かれるであろうことが事前にわかっている形だ。

各話の最後には「下剋上まで◯日」と表示されていることから、同作も時間軸を意識している。第1話では「下剋上まで822日」だったが、3年生が引退し、新しい1年生が入ってくるなど学年も変わった第6話では「下剋上まで373日」と少しずつ迫っている。結末が予想できるからこそ、カウントダウンで時間軸を意識させるのも有効だ。

上記2作品からもわかるように、時間が示されることによって臨場感やリアルな追体験ができるというメリットがある。一方、結末や物語の着地点を予想しやすくなるという弱点も抱えているわけだ。

しかし『ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜』、『下剋上球児』ともに話数を重ねるごとに物語に深みが増しており、面白さは右肩上がり。たとえ物語の結末が読めたとしても、最終話まで楽しみにしている視聴者は多いだろう。時間や期間が見えていることで、視聴者に安心感を与え、落ち着いて楽しめる余地も生まれているのではないだろうか。


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AUTHOR

鳥羽 竜世


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