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UPDATE|2023/12/09

水樹奈々、μ's…かつての“声優枠”はどこに?『紅白歌合戦』に声優が出なくなった理由

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2023年もいよいよ終盤に近づき、ようやく『第74回NHK紅白歌合戦』(以下:紅白)の出演アーティストが発表された。今年も豪華な顔ぶれとなっていたが、そこで「声優」の名前がなかったことに気づいた人もいるかもしれない。一時期の『紅白』には、アニメなどで活躍している声優たちが毎度のように出場していたが、ここ数年はほとんど姿を見ない。その理由はいったい何なのだろうか。

【関連写真】メンバー全員で表紙を飾ったAqoursほか

声優を本職とする人物が最後に『紅白』に出演したのは、2019年の宮野真守。ただし、これはあくまで星野源の音楽番組『おげんさんといっしょ』とコラボした企画コーナーの一環だった。

アーティストとしての抜擢と考えると、2015年に出演した女性アイドルグループ「μ’s(ミューズ)」が最後だろう。この時にはTVアニメ『ラブライブ!』の第2期オープニング曲「それは僕たちの奇跡」が披露され、大きな話題を呼んだ。

それ以前には声優界の歌姫・水樹奈々が『紅白』常連だったことで有名。TVアニメ『WHITE ALBUM』のオープニング曲『深愛』を披露した2009年から始まり、6年連続出場という快挙を果たした。つまり2009年から2015年まで声優の出演が見られたわけだが、それ以降はおよそ8年出演が途絶えている。(2018年にAqoursが出場しているが、「ジャパンカルチャー企画」での出場)

とはいえ、『紅白』に声優が出演しなくなったのは、世間的に声優やアニメの人気が衰えたことが理由ではないだろう。むしろここ数年はアニメブームがとくに盛り上がっているので、そこにはまた別の理由があるように思われる。

まず考えられるのが、“アニソン”の変容だ。以前はアニメの主題歌を声優が担当する文化があったが、最近は声優ではなく、話題性の高いアーティストを起用するパターンが増えている。今年の『紅白』出場者でいえば、YOASOBIやano、miletなどがアニソンのヒットメーカーで、さらには椎名林檎もmillennium paradeとコラボしてTVアニメ『地獄楽』のオープニングを手掛けていた。

昨年の『紅白』でいえば、星野源が『喜劇』という楽曲を披露したが、これは『SPY×FAMILY』第1クールのエンディング主題歌だった。またAdoが『ONE PIECE FILM RED』のキャラクター・ウタ名義で、主題歌の『新時代』を披露したことも話題になった。

こうして見れば一目瞭然だが、現在もアニメ関連の楽曲は多数採用されている。しかしだからこそ、アニソン枠が埋まり、声優が出演する機会が減ってしまったのかもしれない。さらに根本的には、アニソン文化の変化によって、話題になる声優アーティスト自体が減っていることも背景にはあるだろう。


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