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UPDATE|2023/11/08

母娘のリアルな関係性に反響、ドラマ『いちばんすきな花』が描いた「可愛い女の子」ゆえの苦悩

ドラマ『いちばんすきな花』ポスタービジュアル(公式Xより)



また、筆者自身が世の中に対してもやもやしている部分──ルッキズムに関する問題も引きずり出された。夜々は、学生時代から社会人になるまで可愛いという理由で、他人に悪気なく利用されてきた。それは文化祭の“景品”のようにされたり、美容室の広告塔のようにされたり……。他人からすれば、「可愛いんだからいいでしょ」といったテンションなのだろうが、なぜ容姿の優劣を勝手に決めつけられ、利用されなければならないのか。

筆者自身、バラエティ番組などで例えば芸能人が街で出会った一般人に「おきれいですね」と言うこと自体に違和感を覚えるのだが、それをもっと明瞭にドラマの中で再現してくれているように感じた。

一方で、このドラマのすごいところは母親を単なる悪者として終わらせないところにもある。前述の夜々との電話のシーンで、夜々は紫陽花が好きと母に伝えると、母は「(花屋さんに)紫陽花はなかった…」と答える。夜々のいちばんすきな花は紫陽花だったというわけだが、母親はちゃんと知っていたというわけだ。娘を良いように見ていた母親だが、全く夜々自身を見ていなかったわけではないという裏付けともなっている。

キャラクター一人ひとりの感情の機微を丁寧に描く本作。すでに春木椿(松下洸平)、夜々の回は終えた様相を見せており、今後は潮ゆくえ、佐藤紅葉(神尾楓珠)の内面にもフォーカスが当たりそうだが、まだまだ目が離せない木曜日が続きそうだ。

【あわせて読む】ジャンルはコメディ? ドラマ『いちばんすきな花』第3話から見る、魅力の真髄
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まっつ


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