『リリイ・シュシュのすべて』に関して言えば、脇役として出演した俳優陣も豪華だ。剣道部の部長役で登場したのは、当時20歳の高橋一生。子役としてすでにキャリアを積んでいた高橋ではあるが、劇中では瑞々しい高校生役を演じている。
さらに雄一のクラスメイト役としては、勝地涼が出演。今では宮藤官九郎作品の常連として、個性派俳優の地位を確立している勝地だが、当時は若さゆえの失敗があったという。
友人たちと橋の上に並んで立ち小便するシーンがあるのだが、そこで勝地は急に台詞が言えなくなってしまったのだ。「『リリイ・シュシュのすべて』公開20周年記念スペシャルトーク」によると、そこまで難しい台詞ではなかったはずなのに、なぜか苦戦を強いられていたとのこと。
その日はちょうど撮影最終日でもあったため、“言ったら終わっちゃうと思って言えなくなったのかもしれない”というのが共演者たちの弁だ。屈指の役者に成長した今から振り返ると、感慨深い逸話ではないだろうか。
なお、岩井監督の作品では『リリイ・シュシュのすべて』以外にも、さまざまな作品で未来のスターが発掘されていた。1995年公開の映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』では、当時14歳だった奥菜恵をヒロインに抜擢。また、若手俳優だった浅野忠信を映画『FRIED DRAGON FISH』の主演に起用した過去もある。
最新作『キリエのうた』でも映画初主演のアイナ・ジ・エンドを抜擢しているが、はたして岩井監督は彼女に何を感じたのだろうか。才能の原石がどのように磨き上げられるのか、その結果が今から楽しみだ。
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