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UPDATE|2023/07/23

今までのクドカン作品と何が違う? Netflixドラマ『離婚しようよ』で見せた“家族”の新しいカタチ

『離婚しようよ』キーアート



では今までのクドカン作品は何を描いてきたのだろうか。ホームドラマ繋がりでいえば、まず2021年に放送された長瀬智也主演のドラマ『俺の家の話』(TBS系)が記憶に新しい。

同作は能楽の名門に生まれながら、プロレスラーに入門した観山寿一(長瀬智也)と、その父親であり能楽の人間国宝である寿三郎(西田敏行)との関係を軸にした物語。寿三郎の介護を行うことになった寿一とその一家が抱く、家族という縁が持つ逃れられない苦しみや、その中にある喜びを描いていた。

さらにもっと遡れば、東日本大震災の前後を描いた連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)や、ゆとり世代をモチーフにした『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)など、宮藤はその時々の時代の感覚にスポットを当てていた印象だ。

しかし作品の根底には「家族」の存在もあり、その理不尽や宿命をどのように受け入れていくかを描いていたように思える。

それに対して最新作の『離婚しようよ』は、誰かとのドラマチックな出会いや別れを中心にするのではなく、「離婚」というゴールに突き進む個人の姿を描いている。家族はあくまでシステムに過ぎず、それを自分の意思で越えるという“個人の決断”の方に焦点が当たっているのだ。

かつて宮藤はナタリーの「『離婚しようよ』宮藤官九郎×大石静インタビュー」で、「今の人たちって、結婚相手との出会いがそんなに運命的ではないと思うんです」と語っていたことがある。

マッチングアプリなどで条件が合った相手と出会う──そんな恋愛が一般化した現代社会では、「離婚」という選択も昔ほどドラマチックな出来事ではないのだろう。ある意味ドライで合理的な新しい恋愛の形に答えるようなドラマを、今作は提示しているのかもしれない。

常にその時々の社会を鋭く捉え、現代社会の中にある課題や葛藤を描き続けてきた宮藤官九郎。次回作では誰のための物語を紡ぐのか、その答えを待ち望む視聴者も少なくないだろう。未来に待つ新たなクドカンワールドに期待しよう。

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