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UPDATE|2019/05/19

Perfumeの躍進、その時モーニング娘。は……高橋愛、新垣里沙の苦闘

モーニング娘。年代記 第11回


「(藤本)美貴ちゃんが突然いなくなり、心構えが全くなかった」「そんな状況のときに、留学生のジュンジュンとリンリンが入ってくる。言葉も通じないし益々パニックで」(高橋愛)(※2)

北京五輪や上海万博など、華々しいビッグイベントが複数控えていたこの時期の中国。そんな隣国からサプライズ的に加入が発表されたジュンジュン、リンリンは、モーニング娘。史上初の外国人メンバーである。そして高橋がリーダーになった時点で、リンリンはまだ目上の人に対して敬語が使えず、ジュンジュンにいたっては日本語を全く話すことができない状態だった。

「通訳を通しても本当にニュアンスまでちゃんと伝わっているのか不安でした。(中略)あとは、もっと練習しなきゃいけないのに、すぐに休憩しちゃうんです。だからそれだと追いつけないよとか、1つずつ教えて」(新垣里沙)(※2)

10年の歴史というバトンと、言語・文化の違いによる混乱。 黄金期世代が全員いなくなったモーニング娘。の新章とは、まずステージでの勝負の前に、基本的な意思疎通を再確認することからスタートしなければならなかったのである。 モーニング娘。が一旦再浮上どころではなくなってしまったこの2007年。一方同じ女性アイドルジャンルでは、ある3人組の作品が音楽チャートで快進撃を繰り広げていた。

Perfumeの躍進である。もともと広島のご当地アイドルとして生まれたPerfumeは、テレビ出演など宣伝面で決して恵まれていたとはいえず、その後上京してもなお、活動の場は小さいイベントやライブが中心だった。しかしサウンドプロデューサー・中田ヤスタカが送り出す良質な楽曲、また長い下積みによって培われた唯一無二のシンクロダンスは、次第に観た者の心を強く掴んでいく。そしてさらにファンの一部はPerfumeの良さをもっと広めたいと、ちょうど同時期に利用者が急増しつつあったYoutube、ニコニコ動画などの動画共有サービスに、彼女たちに関する動画を次々投稿していった。

ファンが自らの目線でグループの魅力を抽出したこれらの動画は、ネット上で少しずつ口コミ的に再生数を伸ばしていき、結成から7年も埋もれていた地方発のアイドルグループはやがて潜在的支持を得られるようになっていく。そして秘かに注目が集まりつつあった2007年の夏、彼女たちが満を持して全国CMに起用されると、Perfumeの人気はついにネットを飛び出して爆発。新曲『ポリリズム』は週間シングルチャートで初のトップ10入りを果たし、ベストアルバムも異例のロングヒットを記録していくのである。
AUTHOR

乗田 綾子


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