FOLLOW US

UPDATE|2019/02/16

ハロプロが産んだ歌姫・田村芽実 空白の1年に迫るソロインタビュー

田村芽実



──そして舞台「minako―太陽になった歌姫―」の主役に抜擢されます。これは、どういう経緯で決まったんですか?

田村 スマイレージやアンジュルムのMC監督としてもお世話になっていた野沢トオルさんが、この舞台の演出をされたんですが、「本田美奈子. 役は田村しかいないんじゃないか」って声をかけてくれたんです。

──田村さんの本田美奈子. リスペクトは有名ですもんね。

田村 それが、全然知らなかったらしいんですよ! それに今、所属している事務所の社長は美奈子さんのデビュー当時から一緒に歩んでこられた方なんですけど、社長も私が美奈子さんのことを小さい頃から尊敬していたことは知らなかったそうです。それなのに「あの田村っていう子がいい」と言ってくれたそうですからね。すごい偶然だと思いますよ。運命的というか。こんな再出発ができたことは、これ以上ない喜びです。

──実際に本田美奈子. 役を演じてみて、どうでしたか?

田村 当時は18歳だったんですけど、いきなり座長じゃないですか。周りは全員年上だし、その中でのプレッシャーはすごかったです。それと同時に美奈子さんをずっと尊敬していた私が美奈子さん役をするという喜び、そして恐れ多さ。それに歌に対する意識も決定的に変わりました。私は美奈子さんの歌が好きなんですけど、じゃあどこが好きなのかと言うと、一番は歌に対する姿勢。本田美奈子.役を演じさせていただくからには、歌のことを軽く見ては絶対にいけないし、表現することに真剣に向き合わなくてはいけない。それはもう、この役を引き受けた時点で約束してしまったようなものなんです。歌に対しても約束したし、世の中に対しても約束してしまった。今は美奈子さんの意志を受け継ぐ覚悟でいます。

──完全実力主義の世界で「あの子、元アイドルでしょ? ちゃんと歌えるの?」みたいな偏見はなかったですか?


田村 自分では気づかなかったですね。でも、そう思われていたらむしろラッキーだと思います。最初から期待値が高い状態より、ナメられているくらいが気楽じゃないですか。「おっ、意外にやるね」って思われそうだし(笑)。歌には自信はあったんです。舞台のシーンで歌を披露する日なんて、みんなの口がポカーンと開くまで歌い上げてやろうと思っていましたし。ただ、実際の現場はいい人ばかりでしたよ。すごく優しかったし、全員で盛り立ててくれたし、「田村についていく!」っていう気持ちでいてくれたし。

──自分で感じられるくらいの手応えもあったんですね。

田村 ありました。でも、一番強く感じたのは「今、幸せだな」ってことですね。ファンの方に「待たせてごめんなさい」っていう気持ちもあったし、久しぶりにみなさんの前に出る喜びもあったし。だって、戻ってくることができるかも分からない状態で、「帰ってきます!」と言っちゃったわけですから。

──田村さんのファンも不安な気持ちだったかもしれません。

田村 見てくれているファンの方を心配させることは、このお仕事をやる以上、ダメだと思うんですよね。そういう意味でも、戻ってくることができてうれしかったです。

──ところでアイドルって、いつかは卒業していくものなんですかね。古巣のアンジュルムからは1期生でリーダーの和田彩花さんも来春卒業していきますし。

田村 どうなのかな。男性の場合だと、俳優とか他の活動を続けながらアイドルを続けるパターンも多いじゃないですか。だけど女性アイドルの場合はどうしてもグループの活動がメインになるから、他の活動をするチャンスも少なくなる。そうすると、アイドル活動に対しても「やりきった」という感覚になっていくと思うんです。私も「完全にやりきった」、「楽しいままで終わる」って卒業させていただきましたし。

CREDIT

取材・文/小野田衛


RECOMMENDED おすすめの記事