4月10日(土)に名古屋の日本ガイシホールでSKE48高柳明音の卒業コンサートが開催された。コンサートの詳細な内容は各メディアでも伝えられているため、ここでは改めてレポートしない。ただ、あのコンサートには彼女が12年間貫き通してきたアイドル哲学が随所に散りばめられていた…。結成当初からSKE48を追ってきたライターの犬飼華氏が読み解く、高柳明音が卒業コンサートを通してメンバーとファンへ送ったメッセージ。
【写真】親友・松井玲奈もゲストで登場、高柳明音卒業コンサートの模様【10点】 * * *
「私、ほんとそういうのないんで(笑)」
高柳明音の口癖である。取材のテーマが恋愛話に及ぶと決まってこう話す。
アイドルになって12年、高柳には浮いた話がひとつもなかったが、その是非はともかく、アイドルをする上での哲学を貫き通してきた結果だ。
その哲学とは何か。「自分の行動をファンが見た時、悲しむことはしない」というものだ。
例えば、コンサート中の煽り。アイドルによっては、「おめえら、もっと声出せー!」と叫ぶ者も少なくない。だが、高柳はなるべく言葉を崩さなかった。もっと崩してもいいんじゃないかと思うこともあったが、頑として高柳はポリシーを曲げなかった。
それは卒業コンサートにもよく表れていた。
サブタイトルに「まちゅり」という言葉を入れてきた。これは、楽しさを届けるのがアイドルの仕事だという、彼女の哲学に由来するのだろう。ファンが推していて、楽しいと思わなければ、何がアイドルか。根底にあるものはこの考えだ。
ファンやメンバーが悲しみの涙に暮れるようなセットリストにはしたくない。そんな思いが随所から伝わってきた。