この週末、何を観よう……。映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、現在公開されている『チャーリー』。気になった方はぜひ劇場へ。
【写真】”犬映画”『チャーリー』場面写真〇ストーリー
過去の悲劇に囚われ、周囲との交流を拒絶して孤独に生きる男・ダルマが、悪徳ブリーダーの劣悪な環境から逃げ出してきたラブラドール・レトリーバーのチャーリーと出会い、反発しあいながら互いに愛情を育み、ともに生きる喜びを取り戻し、灰色だった世界が輝きだしていく……。
〇おすすめポイント
去年公開された『KGF』シリーズよって日本でも知られるようになった、南インドのカンナダ語映画。誰が呼んでいるのか知らないが”サンダルウッド”ともいわれている。
実際に『KGF』のヒットによって、カンナダ語映画業界は大きく変化しており、バイオレンス系やホラー系など、トーンの暗い作品が多く作られるようになり、タランティーノなどを意識した作品も多い。
例えぱ、モザイク処理はされていたものの、復讐に燃える少女が石で顔面を潰していく『ヴェーダ』(2022)などといった衝撃作もいくつか制作されていたりもする。
そんなカンナダ語映画のニューウェーブともいえる作品が今作『チャーリー』だ。
インドでは、動物が大きな役割を果たす映画は多くあり、キッズムービーの『Chillar Party』(2011)なども犬の役割が大きい。ところが動物が主体の作品というのは、東西南北インドであっても、あまり制作されていない。
もちろん全く無かったわけではない。アクシャイ・クマール主演のコメディ『It’s Entertainment』(2014)は、完全に犬映画であるが、あまり評判が良くなかったため、後に続くことがなかった。
ところが近年になって、タミル語映画『Naal Sekar』(2022)、去年公開された、宗教の違いによって結ばれない犬の駆け落ちを描いたマラヤーラム語映画『Valatty』なども公開されている。