井上 大臣といえば、今回の組閣で話題の小泉進次郎環境大臣。先輩としてどうご覧になっていますか?
小野寺 小泉さんは、すごく政治のセンスと才能がある人ですから、私のようなものと比較することはないと思います。
井上 そこまでですか!?
小野寺 100m走で例えれば、間違いなく10秒を切れる才能を持つ選手でしょう。こちらはどんなに頑張っても400mリレーの補欠になれるかなれないか。身近で接していると、努力では埋まらない差を感じますよ。井上さんも芸能界でこの人には勝てない……というタレントさんがいると思うんですが、同じ世界、同じステージにいることで見えてくる才能の差ってあるじゃないですか。
井上 はい。
小野寺 ここでこんな発言、行動が出るのかと。天賦の才を感じます。
井上 具体的に感じた瞬間があるんですね。
小野寺 例えば、東日本大震災のとき、私の地元は大きな被害を受けました。そのとき、彼は真っ先に被災地に入ってくれて、「五典さん、被災地には何が欲しいですか?」と聞いてくれたんですね。そこで、「小泉さん、ガソリンだよ」と返すと、「分かりました!」と彼の地元・横須賀からタンクローリー車を手配して、自分も乗り込み、ガソリン、灯油、軽油を運んでくれたんです。
井上 小泉さんが運転されて?
小野寺 いえ、さすがに運転は支援者の方がされたと思うけどね(笑)。とにかく、この発想と行動力。当時、私たちは野党でしたから、支援活動がメディアに取り上げられ、目立つこともなかったんです。でも、そんなことは関係なく動き、それを自分で手柄のように語ることもない。感じるものはありますよね。ただ、大臣となると話は別で、やっぱり成果、実績が求められます。今、小泉さんに何かアドバイスできることがあるとすれば、外野の声に振り回されず、どっしり構えてやっていただければ、と思います。
(『月刊エンタメ』2019年12月号掲載)
「取材を終えて」~井上咲楽の感想~小野寺さんの世界観に一気に引き込まれました。この空気感を伝えたいのですが言葉では表せません。自分を大きく見せたり、会話の中で「こんなに立派だ」というアピールする政治家がほとんどの中、小野寺さんが謙虚であることは確か。防衛大臣に二度もなるなどただものではないはずなのに、この独特な雰囲気を持ち続けていることに驚きます。どんなに偉くなっても小野寺さんのままでいてほしいです。
小野寺議員が <新たに選挙権を得た若い世代> に読んでほしい1冊
『沈黙の春』(レイチェル・カーソン 著/新潮社 刊)1962年に出版され、農薬などの化学物質による環境汚染の危険性を訴えた先駆け的書籍。「確か10代の終わりに読んだんだけど、春になっても鳥たちが鳴かなくなった。虫たちが自由に飛ばなくなったというエピソードとともに、環境汚染の恐ろしさが説かれていくんですよね。この本のおかげで地球環境の大切さを初めて真剣に考えるようになったので、強く印象に残っています。初版から50年以上たった今だからこそ、読み返すと感じるものがあると思います」
▽井上咲楽(いのうえ・さくら)1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。現在は『アッコにおまかせ』(TBS)などバラエティ番組を中心に活躍。
Twitter:@bling2sakura▽小野寺五典(おのでら・いつのり)1960年5月5日生まれ、宮城県出身。自由民主党所属衆議院議員。東京水産大学水産学部海洋環境工学科卒。宮城県職員を経て、97年に初当選。外務大臣政務官、外務副大臣、防衛大臣を歴任。